司忍組長が田岡3代目を墓参 「親分、爪が長すぎでは?」「跡目は誰が良い?」3代目と担当警部との生々しいやり取りを収めた書籍のハイライト

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田岡直筆メモの中身

 その他、運転手を務める組員への苦言を呈する内容をまとめた「田岡直筆メモ」も俎上にあがったとされる。田岡3代目は、「運転手が待機中に捨てるタバコの吸い殻が近所迷惑となっており、指導が必要だと考えた」と答えたという。

「1973年に上映された東映映画『山口組三代目』も話題になったそうです。青少年に与える影響が大きいということで兵庫県警は東映に通達を行っています。当初は3部作の予定だったものの、映画製作に関しては東映や田岡御殿に家宅捜索が入ったことなどもあり、第2弾までで打ち止めとなりました。田岡3代目は当時の岡田茂社長が幼いころから交流があり、“幼少の頃から頭の良い子で、そやからつい自分が勝手に世話をしてしもた”そうです」(同)

 映画で主演の田岡3代目を演じたのは高倉健だ。同時代の日本最大のヤクザの親分を当代一の俳優が演じることには隔世の感があるが、およそ半世紀前はまだそういう時代だったということなのだろう。

 2度目の面会は予定の1時間を40分ほど超えた。そして最後の3度目は1975年7月、同じ田岡邸で開かれた。

親分、爪が長くありませんか

 田岡3代目は冒頭に、「山口組を壊滅しようとする組織(兵庫県警)の刑事部長が2年で交代するようでは壊滅どころではないな」と話したという。公務員に定期異動はつきものだが、覚悟が足りないというわけだ。

「これに対して坪田警部は、“親分、どう考えても爪が長くありませんか”と言ったそうです。組長となって29年、その在位期間が長すぎやしませんかということですね」(同)

 上司から「田岡の引退」を命じられているのだから、首に鈴をつけるような提案をせざるを得ないわけだが、なかなかストレートな物言いに映る。直言を受けた田岡3代目は我が意を得たりということではなかったのかもしれないが、思いがけない反応をする。

「“オレの跡目は誰が良いと思う?”と坪田警部に尋ねたそうです。これに対して坪田警部は、“巷では加茂田組の加茂田重政組長を推す声が大きい。それなら我々もやりやすい”と答えたとのことです」(同)

 田岡3代目が真意をただすと、「積極的に我々に協力してくれるだろうから」と返したという。

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