司忍組長が田岡3代目を墓参 「親分、爪が長すぎでは?」「跡目は誰が良い?」3代目と担当警部との生々しいやり取りを収めた書籍のハイライト

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非売品の秘本

 7月23日、3代目山口組の田岡一雄組長の命日にあたって、6代目山口組の司忍組長が兵庫県神戸市内の霊園を訪れた。約8年に及ぶ山口組分裂抗争への終止符を打つことを墓前で誓ったのだろうか。その田岡3代目を巡って、実は関係者の間で知る人ぞ知る入手困難本がかねて話題になってきた。一体どういう本なのか。

 注目の書籍のタイトルは、『やらねば勝たねば』。非売品なので一般に購入することはできない。著者は読売新聞神戸支局長などを務めた河野一成氏で、兵庫県警捜査4課の坪田卓朗警部が暴力団担当として体験したことを聞き取ってまとめたものだ。

 坪田警部は1991年に神戸水上署の署長を最後に兵庫県警を退職し、保険会社に再就職。1999年に退職する際に、「これから話すことは今後20年、口外しないように」と著者は“遺言”を託されたという。

 坪田警部は2006年に亡くなるのだが、死去の11日前に著者を病院に呼び出し、改めて約束の履行を求めた。著者もこれに従って、20年後の2019年に1冊にまとめたというわけだ。

2つの大きなミッション

 同書のハイライトは坪田警部と田岡3代目との交流だ。

 1973年、坪田警部は上司にあたる4課長から、極秘命令を受けた。山口組の弱体化をうかがう県警は、田岡3代目のメンタル面での不調を察知し、トップ引退と神戸地裁前にあった山口組の事務所移転を狙っていた。4課長は連日、白いサラシを死装束のようにして身につけ、仕事に向き合っているような特異な人物だったという。いずれにせよ、覚悟のほどが伝わってくるエピソードだ。

 取り締まり対象の組織の首領と極秘の面会をして譲歩を引き出すというのはなかなかハードルの高いミッションだが、それだけに坪田警部の心に燃えるものがあったのかもしれない。段階を経て、田岡組長と面会の約束を取りつけることに成功する。

 当時の関係者を知り、また実際にその書籍を読んだ竹垣悟氏(元山口組系「義竜会」会長・NPO法人「五仁會」主宰)に同書を踏まえながら解説してもらおう。

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