「万博の開催が間に合うかわからない」清水建設会長が激白 維新の会の責任は?
“二階さんからぶん殴られるぞ”
再来年の開幕を控え、急に慌て始めた国と大阪府市。その主因として指摘されるのが、運営主体である万博協会の不手際である。
万博協会の会長は経団連の十倉雅和会長。事務総長を石毛氏が務める。石毛氏は元通産・経産官僚で、退官後はジェトロ(日本貿易振興機構)の理事長を長く務めた。国際経験の豊富さを買われ、協会の事務総長に抜てきされるも、
「昨年の段階で石毛さんの手腕が経産省内で不安視されていました」
と先の政府関係者。
「ある時、官邸の要職を務めたこともある官僚OBと面会した際、石毛さんがOBに対し“期日までに各国に敷地を引き渡せるようにします”と話したところ、そのOBが“引き渡すだけじゃダメだ”としてこう叱責したんです。“渡せばいいってもんじゃない、建てないとダメなんだ”“建てないと本国から国会議員に抗議が来る”“二階(俊博元自民党幹事長)さんからぶん殴られるぞ”と。だけども、石毛さんはキョトンとして要領を得なかったのだとか。結局オール経産省で準備する体制が作れず、時が過ぎてしまった」
組織体としての問題も指摘する。
「協会の海外パビリオンを担当する副事務総長は関西電力出身で“トンカチ”(建築)のことはわからない。石毛さんとともに根回しと詰めの甘さが混乱を呼んでいるんです。このままではタイプAのパビリオンは半減するのでは」(同)
「木造構造物で…」
内情を知る協会関係者が明かす。
「昨秋、日建連に“このままでは間に合わなくなる”と指摘されてから、協会内はてんてこまいです。石毛さんも建築申請がゼロなので、相当焦っています」
ただ手をこまぬいていたわけではないとも言う。
「タイプAの場合、設計会社やゼネコンにどこを選ぶかは、基本的に各国に委ねられています。ただ、資材が高騰し、凝ったデザインもあるパビリオンに大手ゼネコンが二の足を踏んでいるのも事実で、それが停滞の最大の原因と協会は見ていました。そこで協会は各国に、大手ではなく中堅ゼネコンを紹介したり、デザインの簡素化を促し、木造構造物でパビリオンを簡易に作れるような事業者とマッチングしてきた。ただ、彼らは国の威信がかかっているので、あくまで“自分で建設会社を見つけます”というスタンスで……」(同)
しかも、資材高騰だけではなく、来年は建設業界も働き方改革の波で深刻な人手不足に陥る「2024年問題」が待ち受ける。
婚活支援と見まがうほどの“マッチング”の努力も虚しく、最近では万博延期論までささやかれ出す始末。
石毛氏はいまの状況をどう考えているのか。都内の自宅前で直撃すると、
――海外パビリオンの建築申請がゼロですが。
「ごめんなさい、広報に話を通してください」
と逃げの一手。では、その協会広報に尋ねると、
「協会として、中堅ゼネコンや木造建築物を造る業界の団体などの事業者を推奨していることはありません。(中略)協会としては政府と一体となって、(中略)今後もさまざまな支援を継続してまいります」
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