「万博の開催が間に合うかわからない」清水建設会長が激白 維新の会の責任は?

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建築業界が猛反発

 開幕までの完成が不安視されているなか、波紋を呼んだのが、協会事務方トップ・石毛博行事務総長(72)の発言だ。13日の記者会見で、

「標準的な工期から考えると、年末までに着工すれば開幕には間に合うと考えています」

 と石毛氏は楽観的な見方を示すも、これに建築業界が猛反発。先の宮本会長はこう疑問を呈す。

「何を根拠にそうおっしゃっているのか、わかりません。大きいもの(建築物)もあれば、小さいものもあるわけだけど、何をもって“間に合う”としているのでしょうか」

 さらに、万博会場になっている大阪市最西端の人工島・夢洲(ゆめしま)のアクセスの悪さを指摘する。

「あの小さな夢洲で“年末までに”一斉に工事がスタートしたら、大変なことになります。アクセスは夢舞大橋と夢咲トンネルの2カ所だけ。短期間で一体どうやって多くの人と資材を運ぶのでしょうか。前回のドバイ万博が1年延期した影響で、次の万博に向けて、各国がそこまで真剣になり切れていないという面はあるかもしれません。しかし、協会に対し、“各国にちゃんと説明してください”と申し上げている。その上で図面を出してもらわないと。アバウトな状態で“どうだ?”と言われても困るんです」

 なぜ、国家的事業がかような大混乱を招いているのか。

“あとは何とかしてよ”

 大手ゼネコン幹部が言う。

「万博を成功させるためには、参加する諸外国との折衝を限られた時間でどうマネジメントするかが問われます。しかし、それが全くうまくいかなかったのです」

 パビリオン建設の遅れを懸念した大阪府の吉村洋文知事は、今年の5月29日に官邸を訪問し、岸田文雄総理と面会している。そこで府知事は総理に、国を挙げての支援を要請したが、

「あらゆる動きが遅きに失しています」

 とあきれかえるのは、大阪府政に詳しいジャーナリストの吉富有治氏。

「もっと前からわかっていた問題なのに、5月になってようやく、吉村知事が国に泣きついた格好です。万博の準備が進まない原因は大きく分けて二つあります。一つは建築資材の高騰などの外部の問題。もう一つは内部の問題です。つまり、国と万博協会、大阪府市の連携の悪さや情報収集不足などで、こちらの方の影響が大きい。各機関がバラバラに動いていて、意思統一ができていないのです」

 さる政府関係者によれば、

「今年6月になって、経産省が日建連に対し、パビリオン建設が開幕に間に合うように協力を要請したと聞いています。事実ならあまりに遅い対応です」

 実際に先ごろ、前出・宮本会長のもとに一本の電話があった。相手は万博を推進する経産省の西村康稔大臣だ。宮本会長が言う。

「大臣も困っているようです。“8月までに外国のパビリオンの設計を決めるから、あとは何とかしてよ”と言われました。“何とかしてよ”と言われてもね……。私からは“出てきたものを見ないことには何もわからないですよ”“とにかく早くやってください”と答えました」

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