秋広優人は3番より5番に据えた方がいい理由【柴田勲のセブンアイズ】

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秋広の長所とは

 打者には1、2ストライク目まで「ストライクゾーンを狭めて待つ、狙いを絞る」と「なんでも打とうと思って手を出す」の二つのタイプがある。

 秋広は前者のタイプだ。ボール球を振ろうとしないし、難しいボールはパスだ。ここが秋広の長所だ。岡本和も絞り込むタイプだ。吉川、丸、坂本は後者のタイプだ。

 岡本和が歩かされても秋広が控える。さらにいまの打順だと6番には勝負強い丸がいる。

 1番から8番までの8人が8人打てなくてもいい。坂本の復帰でこれまで遊撃を守っていた門脇誠が三塁、正三塁手の岡本和は一塁に回った。打線がつながっているから門脇を8番でスタメン起用できる。

 堅実な守備で貢献してきたルーキーを外せなくなった。しかもここに来て打撃面も向上してきた。30日にはダメ押しの2点適時打を放った。

 巨人は一時の一発頼みの「打点」から相手が嫌がる「打線」に変わってきた。大いに期待できる。

菅野への助言

 巨人の反攻には菅野智之の復調が絶対条件だが、このままでは厳しい。どんな投手でも10球中、3球くらいは外角低めに投げようとする。投手の生命線だ。

 ところが菅野は大城卓三が要求しないのか、本人が投げようとしないのか、それとも投げる自信がないのか。最近はほとんど見たことがない。

 まだ33歳だが、20代後半から徐々に変化球投手に転向したイメージがあるし、いまはスライダー、カットボール、フォークなどの変化球でかわす投球をしている。言葉は悪いが、ごまかしている。

 戸郷翔征は真っすぐとフォークの組み立てで勝負しているが、フォークの落差が大きいし、ストレートで三振を取れる。もちろん、外角低めを意識している。

 打者にとって変化球はなんとかなる。菅野は25日の阪神戦(甲子園)で6回、4番の大山悠輔に逆転となる2ランを浴びた。6球目、低めのフォークをうまく拾われた格好だが、対応することができる。当てることができる。

 外角低めへ速い球を決めてこそ、変化球も生きてくる。菅野も必死で復活への道を模索していると思う。考えてほしい。

 巨人、剣が峰に立っている。勝負の8月である。まずは1日からのヤクルト戦を最低でも勝ち越して、勢いをつけて広島に乗り込んでほしい。(成績は31日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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