台湾では「福原愛」ではなく「浮気愛」と呼ばれ…元夫「江宏傑氏」への見方もガラッと変わった事情

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「福原愛」から「浮気愛」へ

 離婚騒ぎ以前は、福原さんと共に「日台おしどり夫婦」として芸能活動を続けてきた江氏は、離婚後の2年間、スポーツ系エンターテイメント番組やCMに出演するなど、健気に芸能活動をこなしてきた。派手さはないものの誠実さを買われ、台湾での人気は以前にも増している。一方、日本で不倫に走った福原さんに対して、台湾では無責任な奔放ぶりが指摘され、そんな彼女に離婚を突きつけられても常に慎重に対応してきた江氏に、台湾の人々は概して同情の眼差しを向けている。江氏はそんな空気を読み、追い風にすることで仕事を続けていたと言ってよい。

 今回にしても、台湾メディアやSNSなどでは、福原側への風当たりは強く、江側を擁護する言動が目立つ。極端な例では、台湾の5ちゃんねるにあたる掲示板では「『福原愛』ではなく『浮気愛』(福原の華語読み『フーイェン』が、浮気の『フーチー』と似ているためか)と改名して投稿されるようになった」と一部メディアが報じている。 

 やはり、日本人男性との不倫騒動以降、福原さんの清純派イメージに傷がついていることは間違いない。さらに、今回の会見を受け、日本のメディアも江氏寄りの報道が多かったことから、三立新聞網などの台湾側メディアによって「日本のメディアも江側支持に動き始めた」と素早く指摘された。

親権を巡る「江福対戦」は長引く気配

 昨年7月、江氏が台湾にいた長男を福原さんに一時的に引き渡した後、彼女は面会交流期間の1ヵ月を過ぎても台湾へ戻さなかった。元妻が長男を台湾に戻すことを疑わなかった江氏の読みが浅かったとも言えるが、江氏が東京家裁に調停を願い出て、今年7月20日、福原側に長男の引き渡しを命じる保全命令が出たことで事態は急変した。

 引き渡し要請を無視する福原さんを巡って江側が打って出たのが、今回の「涙の記者会見」だった。イメージ戦略的に言えば、日本、台湾ともに世論は福原さんへマイナスに傾き、今回は江氏に利があったように見受けられる。だが、この先どうなるのかについては、予断を許さない。

 江側には「長男第一主義」という台湾の伝統的な意識もあるはずだ。一族からの意向を受け、長男をなんとしても自らのホームタウンである台湾で育てたいという意志が働き、今回の強気の行動に出たとも考えられる。

 江氏が望むように、福原さんが任意で息子を引き渡し、安定した親子交流を行っていくことが最善の道だと思われるが、これを更なる火種として、福原側がどのような手を打ってくるか。

 今後は、台湾がハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の条約)に加盟していないことがカギになるかもしれない。台湾から外国へ子どもを連れ去られても、ハーグ条約で守られていない台湾当局は手を打てない可能性が高い。これを盾に、福原側は息子の引き渡しを引き延ばすか、シンガポール(福原さんが子連れで複数回訪れたとされる)などの第三国へ避難させることを検討するなど、策を講じてくるという展開もありえる。

 江側は「どの国に行こうと、どんなに従わなくとも、こちらが諦めるということはない」という通り、両方に譲り合いの姿勢はない。2年にわたる長い長いバトルに終わりは来るのか。問題が二国間にまたがるだけに複雑になることは避けられない。

広橋賢蔵(ひろはし・けんぞう)
台湾在住ライター。1965年生、1988年北京留学後、1989年に台湾に渡り「なーるほどザ台湾」「台北ナビ」編集担当を経て、現在は台湾観光案内ブログ「歩く台北」主宰。近著に『台湾の秘湯迷走旅』(双葉文庫)などがある。

デイリー新潮編集部

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