夏の甲子園に「超高校級」遊撃手が登場 スカウト陣は「プロ野球を代表するショートになれる可能性もある」と明言
一躍“ドラフト上位候補”に
8月6日に夏の甲子園がいよいよ開幕する。ドラフト候補では、やはり高校通算140本塁打を誇る佐々木麟太郎（花巻東）が最注目の選手と言えるだろう。また、同じ強打者タイプである真鍋慧（広陵）や佐倉侠史郎（九州国際大付）も甲子園出場を経験しており、全国的な知名度が高い。その一方で、夏の地方大会の活躍でドラフト戦線に急浮上してきた選手は少なくない。今回は、大舞台での飛躍が期待されるプロ注目選手を取り上げてみた。【西尾典文／野球ライター】
【写真】波乱の甲子園で“主役”になれるか…プロが注目する“遊撃手”の勇姿
夏の甲子園の活躍次第で、一躍“ドラフト上位候補”にあがる可能性を秘めているのが、大型ショートの横山聖哉（上田西）だ。旧チームからレギュラーでプレーしていたが、スカウト陣の間で、横山の名前を聞くようになったのは、今春から。高校に入学してから10cm近く身長が伸び、体格が見違えるほど大きくなったからだ。現在のプロフィールは身長181cm、体重82kgで、チームの中でも一際体が大きく見える。
横山の魅力は、“超高校級”の強肩だ。三遊間の深い位置から一直線で低い軌道でファーストまで届く送球は、とても高校生のレベルではない。春の北信越大会では、「4-6-3」の併殺で見せた送球の速さに、スタンドのスカウト陣や観客が思わず、どよめいたほどだ。また、長打力は、高校生のなかで上位クラスにあり、夏の長野大会で2本のホームランを放ち、いずれも打った瞬間にそれと分かる当たりだった。
「ウォーミングアップやキャッチボールの段階から、1人だけ動きが全く違いますよね。探さなくても、勝手に目に飛び込んできます。体つきは均整がとれていて、投げるのも打つのもバランスが良い。身長が伸びるのと一緒に、上手く筋肉がつけてきたように見えます。高校の先輩、高寺望夢（阪神、2020年ドラフト7位）もバットコントロールは素晴らしかったですけど、選手のスケールは、横山の方が上ですね。プロ野球を代表するショートになれる可能性もあると思います」（セ・リーグ球団スカウト）
筆者は、夏の地方大会では、担当エリアではないスカウトから、他のエリアのドラフト候補選手について印象を聞かれることがある。そこで、今年最も話題にあがることが多かった選手は横山だった。それだけ各球団のスカウト陣で、高い評価を得ていた証拠だろう。
この夏が“最後のアピールの場”
横山と同じショートで、今夏に急浮上してきた選手が、百崎蒼生（東海大熊本星翔）だ。百崎は中学卒業後、東海大相模に入学。1年秋からレギュラーで活躍していたが、2年春に退学して、出身地熊本にある東海大熊本星翔に転校した。高野連の規定で1年間は公式戦に出場できなかったため、この夏が“最後のアピールの場”となったが、見事な活躍で、チームを5年ぶり3回目となる夏の甲子園出場に導いた。
巧みなリストワークとバットコントロールは天下一品で、広角に鋭い打球を放つ。熊本大会の準決勝では、左中間に特大のホームランを放つなど、長打力が着実にアップしている。それに加えて、脚力と走塁センスも素晴らしい。
熊本大会直前の練習試合で、左脚に自打球を受けた影響があり、守備は本来の動きではなかったとはいえ、試合を追うごとに回復を見せている。夏の甲子園では、打撃はもちろんだが、守備でどれだけのプレーを見せられるかによって、スカウト陣の評価がさらに高まることも予想される。
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