実は3番目に多い死因は医療ミス? 良い大学病院を見抜くポイントは? 寿命を削らない医者の選び方を徹底解説
それほど賢くなくても医者になれる
ここまで、正しく、そして賢く医療を受けるために、「大学病院はすなわち良い病院である」、あるいは「何でも診てくれるかかりつけ医」といったさまざまな医療に関する常識を変える必要性を説いてきましたが、それら全ての前提となるのは、患者さんの意識の中で次の常識を捨てることです。
医者は偉い。
日本には「お医者様」という言葉があります。命を救ってくれる医者は自分たちより賢く、そして偉い、文字通りのお医者様なのだからその指示には従うべきである。そう思い込んでいる患者さんも少なくないと思います。ですから、お医者様に「最新の医療情報はありますか?」と尋ねたり、「違う大学病院に紹介状を書いてください」などと素人が口を出してはいけないと考え、仮に気になったり引っかかることがあったとしても、お医者様から言われた通りにする。
しかし、この常識は完全に誤っています。2020年時点で日本には34万人の医者が存在します。全員医学部を出ているわけですが、みんなが賢いわけではない。東大などの一部を除き、浪人をして勉強を重ねればそれほど賢くなくても医学部に入ることはできるのです。現に私自身が2浪して医学部に入っています。
「医者は偉くなどない」
また、仮にその医者が賢かったとしても、それはその人が偉いことを意味するわけでも何でもない。ですから、遠慮することなどなく、聞きたいことがあれば質問し、説明に納得できなければ他の病院や医者に変える。これは患者さんに与えられた当然の権利です。その権利を行使しない手はありません。良い医者を選ぶか否かで、あなたの余命は延びもし、縮みもするのです。
こと医療を受ける、つまり自分の命を守るためには、日本人の美徳である謙虚さや謙譲の精神は邪魔になります。自分が若い研修医の手術を拒んだら、研修医はいつまでも成長できないのではないか……。そんなことを患者さんが気にする必要はありません。それは大学病院が考えるべきことなのです。
医療を受けるにあたって、患者さんはとにかく自分の命を守ることを最優先する。そのために、医者に遠慮している暇はないのです。
なにより、医者は偉くなどないのですから。
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