実は3番目に多い死因は医療ミス? 良い大学病院を見抜くポイントは? 寿命を削らない医者の選び方を徹底解説
かかりつけ医に関する常識
医者の腕の良さは出身大学で決まるものではありません。いわゆる一流大学ではない大学出身の医者でも、「神の手」と呼ばれるような名医は存在します。学閥優先の大学病院は、こうした名医を呼び寄せる門を自ら閉ざしてしまっている。つまり患者さんに最高・最良の医療を施す努力を放棄してしまっているも同然なのです。日本全国には約80の医学部が存在します。それだけあるのですから、学閥にこだわらなければより優秀な医者を集められる可能性が高まるのは自明の話です。
次に、かかりつけ医に関する常識です。多くの方は、風邪をひいたら診てもらう近所のお医者さんをかかりつけ医と認識しているのではないでしょうか。体調が悪くなったら何でも診察してくれる内科の先生がかかりつけ医であると。
しかし、50年前ならいざ知らず、医療技術が進歩した現在、そうした意味での「内科医」は存在しません。なぜなら、内科はさらに消化器内科、呼吸器内科、そして私の専門である糖尿病内科といった具合に細かく分かれているからです。この細分化された内科の専門医を「サブスペシャリティの専門医」と言いますが、現代の医療が求める水準においてこれら全ての内科分野の知見を専門的に身に付けている「スーパー内科医」はほとんどいません。
お腹が痛ければ消化器内科の専門医に診てもらい、咳が出るのであれば呼吸器内科の専門医の診察を受ける。これが逆であれば、適切な医療を受けられないのは誰が考えても当たり前のことだと思います。実際、私たち医者が体を壊して通院する場合、「専門外の内科医」に診てもらうことは絶対にありません。
「質問する力」の一方で…
ですから、なんでも診てくれるという意味での内科のかかりつけ医には、あまり意味がありません。かかりつけ医を持つのであれば、お腹が痛くなった時のための「消化器内科のかかりつけ医」、咳が止まらなくなった時のための「呼吸器内科のかかりつけ医」といった具合に、症状別の「かかりつけ専門医」を見つけておくべきでしょう。ホームページなどをチェックして、院長などが「○○専門医」と掲げているところを選ぶことをお勧めします。「とりあえず近所の内科の先生に診てもらう」のは避けるべきです。
ひとりの医者がいくつもの専門分野を看板やホームページに掲げているところもお勧めできません。その医者は、逆に本当の得意分野がないということを宣言しているに等しいからです。
そうやって「かかりつけ専門医」を見つけたところで、その医者が腕の良い医者かどうかはまた別問題です。それを見抜くには、繰り返しになりますが、ホームページやインターネットの口コミサイト等で医者の経歴や評判などを自分なりに調べることが大事です。その上で、診察を受ける場面で直接その医者の良し悪しを見分ける方法もあります。とてもシンプルですが、それは「質問すること」です。
例えば、「私の病気について最新の医療情報はありますか?」と尋ねてみる。良い医者であれば、「新しい治療法が見つかって現在治験中です」とか、「最近いい薬ができました」などと答えてくれるはずです。これは、絶えず医療について勉強を続けている医者であることの証です。
逆に、「さあ、どうでしょうかねえ」といった具合に曖昧な答えしかしない医者は、医療に対しても患者に対しても不誠実で、良い医者とはいえません。また、経験が浅い医者ほど、患者さんには理解不能な医療専門用語を連発し、煙に巻こうとする傾向があります。これも、患者さんに寄り添っていない医者といえるでしょう。
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