ゲームセット寸前で「絶対的守護神」が退場も…「あと1人」「あと1球」で起きた“衝撃的プレー”

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突然の停電で場内は真っ暗に

 9回2死、「あと1人」で試合終了という場面で、停電で試合が中断するアクシデントに見舞われたのが、1979年7月17日の西武対日本ハムである。

 5回に立花義家の3ランなどで5対2と逆転した西武は、8回にも1点を加え、6対2とリードして最終回を迎えた。

 だが、日本ハムも完投目前の東尾修に食い下がり、2死一、二塁と最後の粘りを見せる。次打者は1番・富田勝。東尾が打ち取れば、そのままゲームセットだが、富田に一発が出れば1点差、出塁してチャンスを広げれば、島田誠、柏原純一に打順が回り、試合もどうなるかわからなくなる。

 両チームのファンは固唾をのんで二人の勝負を見守っていたが、そんな矢先、突然の停電で場内は真っ暗になった。過熱によるブレーカーの故障と判明し、試合は16分中断した。

 そして、修理を終えてようやく試合が再開されると、富田は東尾の初球を打って、二ゴロでゲームセット。盛り上がった場面でお預けを食い、16分も待たされた挙句、たった1球で終わりというあっけない幕切れに、1万8000人のファンは「もうちょっと見せろよ!」と大ブーイングだった。

 9回2死からのドラマは、大逆転に危険球退場、停電まであり、ミステリアスとしか言いようがない。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

デイリー新潮編集部

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