オリオールズ・藤浪晋太郎に変化が…「デリケートな投手」と評した日本的捕手、ラッチマンにも注目

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気持ちよく投げさせたい

 フィリーズ戦ではラッチマンが投手思いである一面も垣間見られた。藤浪が3者凡退に斬って落とし、ベンチに下がろうとすると、ラッチマンはスッと近寄ってきた。

「次のイニングで対戦する打者の特徴を伝えていたそうです。移籍してきたばかりなので、サインの確認もありました。前回22日(現地時間)の登板で藤浪はスプリットを投げ損ねて、暴投を記録しています」(前出・現地メディア関係者)

 ラッチマンは藤浪のことを「デリケートなピッチャー」と捉えているそうだ。

 22日のレイズ戦は、2試合連続での登板ともなった。2点リードで迎えた8回のマウンドを任されたが、いきなり連続四球と暴投で無死二、三塁のピンチに…。そして内野ゴロと適時打で同点に追いつかれてしまった。移籍後初登板となった前日も先頭バッターにソロホームランを浴びている。

「22日は先頭打者にボールカウントが先行したのが不調の原因と、ラッチマンは分析していました。初登板も緊張していたと話していました。ラッチマンはベンチにシグナルを送り、投手コーチにマウンドに行ってもらいました。藤浪をリラックスさせるつもりだったんですが、投手コーチが来たことで、かえってマイナス思考にさせてしまったと、ラッチマンは後悔していました」(前出・同)

 投手の失敗をキャッチャーの、つまり、自身の勉強不足と捉え、藤浪の操縦法を考え、「気持ちよく投げさせ、余計なことは考えさせない」ように努めているそうだ。

 日本のプロ野球界では「捕手=司令塔」、「投手の引き立て役」ともされている。アメリカも配球面ではキャッチャーに重きを置いているが、司令塔の役割までは求めていない。そういう意味では藤浪は“日本球界的な要素”も持ったキャッチャー(女房役)に巡り会えたともいえる。

 ラッチマンは昨年、ア・リーグ新人王投票で2位になった。オリオールズのブランドン・ハイド監督(49)は正捕手として開幕から起用するつもりでいたが、上腕三頭筋を痛めてしまい、メジャーデビューは5月になってしまった。しかし、ラッチマンはその配球術と投手思いな言動で、同年代の投手たちから信頼を集め、彼がスタメンに完全固定されてからは、チームも43勝24敗と勢いづいていった。

「オレゴン州立大学時代から大学ナンバー1捕手と高く評価されていました。19年にオリオールズから1位指名されましたが、MLB全体でも1位。捕手が全体1位の指名となったのは、65年のドラフト制度開始から見て彼が6例目です」(前出・米国人ライター)

 一昨年シーズン110敗の歴史的大敗のワーストタイを記録したチームが、昨年は勝率5割台に復帰し、今季はア・リーグ東地区の首位を快走している。投手陣を立て直したラッチマンのフレーミングに藤浪もあやかるケースは少なそうだが、指揮官・ハイド監督も、藤浪の強い味方になってくれそうだ。

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