牧伸二はなぜ多摩川に身を投げたのか 「いつもならスーツ姿なのに…」亡くなる前日の様子を喫茶店経営者が証言

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不明になっていた東京演芸協会の資金

 関係者によると、亡くなる前日の28日はお江戸上野広小路亭(東京都台東区上野)に出演。その後、東洋館(同・台東区浅草)に向かい、自ら会長を務める東京演芸協会が主催の公演に午後4時10分から出る予定だった。

 楽屋に入ったのは午後2時過ぎ。「お茶を飲んでくる」と伝え、行きつけの喫茶店Pに。だがそのまま戻らず、浅草の舞台はキャンセルとなった。携帯電話は持っていなかったというが、長い芸能生活で牧が仕事に穴を空けたのは初めてだったそうである。

 喫茶店ではどんな様子だったのか。経営者の話。

「いつもでしたらきちんとしたスーツ姿なのに、この日ばかりは浮かない顔つきで一人でコーヒーを飲んでいました。茶色い作業服(ジャンパー?)のような格好でしたね」

 座ったのは、いつもと同じ一番端の席。20年間、いつもそこだった。いつもと同じアメリカンを注文。砂糖とミルクを入れて飲み終えると、30分ほどで店を後にしたらしい。だが、その後、どこに行ったのかはいまも分かっていない。

 牧は浅草を中心に活躍する芸人たちの団体「東京演芸協会」の会長だった。会員や後輩芸人たちの信望も厚かったが、歴代の会長から受け継ぎ牧が管理していた協会の資金(500万円以上とも)が不明になっていた。会員からは牧の責任を追及する声が高まっていた。

「現金か通帳で500万円用意する。会長を辞めて責任をとる」と理事たちに約束。それを受けて理事会で正式に決定する予定だったが、牧は無断欠席。行方不明になり、4月29日に悲劇を迎えることになる。

 牧は協会に対し「不明金の件は不問にしてほしい」という申し出もしていたという。詳しく書くことは控えるが、悪いことは重なるもので、私生活をめぐるスキャンダルも明るみになった。

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