「あんな“危ない夜遊び”では恨みを買う」 札幌・首切り事件、被害者と関係を持った女性が激白
人権の大切さを訴えてきた修容疑者
道東・オホーツク海側にある遠軽町に生まれた修容疑者は、旭川医科大学を卒業後、精神科医となり札幌市内にある勤医協中央病院に勤務。精神科・リエゾン科科長にまで昇り詰めたという。
逮捕される直前まで、彼は普段通り出勤していたそうだが、同じ病院に籍を置く現役看護師は、こう話す。
「患者さんにも優しく声をかけ、科長でありながら、看護師も分け隔てなく接するなど、院内での評判は上々でした。田村先生を悪く言う人は聞いたことがありませんが、事件の一報を聞いて“あの先生が?”という驚きが不思議となく、周囲も同様の反応でした。なんと言えばいいのか、あまりに温厚で優しい方だったので、やっぱり“裏の顔”があったのかと、変に納得してしまったんです」
院外活動にも熱心な修容疑者は、5年前には「海外派遣自衛官と家族の健康を考える会」の北海道・東北支部を設立、代表幹事に就任している。米国で社会問題化している、兵士が戦地や軍事演習で受ける心理的ストレス、いわゆる「コンバット・ストレス」の改善を目的とした活動に取り組んでいた。
また2019年には「医療九条の会」で「精神医学と人権」というテーマの講演を行うなど、社会活動にも熱心な様子だった。
人命の尊さ、人権の大切さを人一倍、世の中に訴えてきたはずの医師が、人をあやめようとする娘を止めることはできなかったのか。
「不幸が重なり…」
警察が家宅捜索に入った田村一家の邸宅は、19年前に修容疑者が購入。3階建てで白亜の外装が目を引く瀟洒(しょうしゃ)な造りだが、土地登記簿を見ると2200万円の住宅ローンをわずか8年で完済。ガレージには、スバルの最高級SUVであるアウトバックが停まり、堅実な生活を送っていたように見受けられるが、その内実は決して順風満帆なものではなかったようだ。
一家を知る近隣住民は、
「逮捕された娘の瑠奈さんは、地元の公立小学校に通っていた頃から不登校で、お母さんと一緒に歩いている姿をたまに見ても、表情は暗くて笑っているところを見たことがなかった。いつもメガネ姿で地味な色の服を着て、黒い髪を背中まで伸ばしていたのを覚えています。ここ10年くらい見かけることはなかった」
小学校の卒業文集では、修学旅行について他の児童と同じく〈たくさんの楽しい思い出が出来ました〉とつづりながらも、最後に〈でも、女子で木刀を買ったのが私だけだったのは、ちょっと意外でした〉と、こだわりを見せた。
先の住民が続ける。
「お母さんは旭川の美術館で学芸員をしていたと聞いていますが、結婚後はパートで働き、家で庭や屋上の植物に水をやっている姿を見ました。5年前に転倒して骨折、旭川にいる親御さんが亡くなるなど不幸が重なり、町内会の役員はできないと断っていて、近所づきあいもあまりしていませんでした」
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