ビッグモーターの末路 兼重親子は今後も君臨か、放逐されるか 今後を占う3つのポイント

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損保の動向

「3つ目は、ビッグモーターを買い取ろうとする企業やファンドが現れるかどうかです。ビッグモーターのブランド価値は、どんどん毀損されています。兼重氏は社主の座にしがみついていますが、そのメリットも凄い勢いで減少しているのです。一方、ビッグモーターの全国の支店網と経験豊富な社員は、高い“資産価値”があります。『ビッグモーターの看板さえ外せば、再生は可能。悪いことは言わないから、私たちに売りなさい』と説得するところが現れるか、この点は要注目でしょう」(同・須田氏)

 3点とも現実のものになりそうな印象を受ける。しかし、須田氏は「そう簡単には事が運ばない可能性も充分にあり得ます」と言う。

「まず1点目ですが、確かにビッグモーターは許されざる“悪事”に手を染めましたが、損保各社は一方的な被害者ではありません。例えば、損保各社が修理会社にぎりぎりまで工賃を安くするよう要求した結果、故障を水増し請求することで修理会社は売上を維持しようとした側面もあるのです。本腰を入れて刑事と民事で責任を追及すると、損保側も“返り血”を浴びるかもしれません。そこまでの覚悟があるのかが今後の注目点です」

会社の“売り時”

 3点目の「ビッグモーターを買収する企業やファンド」が現れるかどうかも予測が難しいという。

「損保の理不尽な要求に応えてきたのはビッグモーターだけではありません。車の修理部門を持つ企業は、多かれ少なかれ保険金の不正請求に手を染めてきました。ビッグモーターという会社の“資産価値”は高く、買収に興味を示すライバル企業も少なくないでしょう。しかし、もしビッグモーターを買収することになれば、自分たちも襟を正す必要がある。それができるという自信のある企業は存在するのか、このポイントは無視できません。ファンドも売却先の目処がなければ、買うことはありません」(同・須田氏)

 その一方で、2点目の「消費者のビッグモーター離れ」だけは現実のものになる可能性が高いという。

「これほどの問題が明るみになりながら、『ビッグモーターで中古車を買おう、車を修理してもらおう』と考える消費者は、まずいないでしょう。ビッグモーターは上場企業ではありませんから、経営状況の開示が義務づけられているわけではありません。しかし、どれだけ売上を落とすか、様々な関係者が必死で探るはずです。そして、経営が苦しくなればなるほど、兼重親子にオーナーからの退陣を求める声は強くなります。兼重親子が会社の“売り時”をどう考えるかという問題も、今後に大きな影響を与えます」(同・須田氏)

デイリー新潮編集部

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