「人生の楽園」を夢見て“移住”の落とし穴 田舎暮らしで成功するのは“ハイスペック人材”ばかりの理由
6つの特徴
カスタマーレビューで同書に星5つつけている人はこんなコメントをつけている。
<田舎をやれ人情豊かだの自然に囲まれて心豊かだのと美化しているテレビ番組に感化されている方たちへ。この本には、田舎の真実が凝縮されています。田舎は未だにセクハラ山盛りてんこ盛りなのは覚悟してください。いきなり家に押しかけてきます(それも食事中に!)人生の楽園という番組より、この本を!>
<田舎暮らしを夢見ている人たちに、是非読んでもらいたいと思います。田舎暮らしの大変さが、これでもかというほど出てきます。でも、それが現実なんですね。甘い気持ちでの移住は慎んだ方がいい、そんな筆者の気持ちがひしひしと伝わってきます。>
1つ目のレビューに「人生の楽園」は登場するが、同番組に登場する移住者には以下6つの特徴がある。【1】コミュニケーション能力抜群【2】突然人が訪れてもにこやかに対応する【3】地域の活動に参加する【4】手先が器用だったり明確な能力がある【5】人から羨まれる何らかの実績を持っている。さらに、案外多いのが【6】元々夫婦のどちらかに地縁があった、というものだ。この6つが揃っている人は移住をしても快適な生活ができるだろうが、上記の中でも3~4つほど当てはまらないと移住は難しいだろう。
対価はお金だけではない
なぜ、これらが重要かといえば、都会では一人では生きていけるが、地方では無理だからだ。大きな理由が、高齢者が多いことと、災害である。高齢者に対しては色々と手伝いをする必要があるし、災害では住民同士協力し合わなくてはならない。それこそ川に近い人が避難してくることもあれば、ビニールハウスが壊れたら復旧を手伝わなくてはならない。
都会の人はお金ですべてを解決しようとするが、地方の人はそうではない。労働力や野菜や魚の提供、買い物の足などを提供することによりコミュニティ内での立場が良くなっていく。逆に、色々な人から何かをもらえるというのは、自分がそのコミュニティで認められた証。対価はお金だけではないのだ。
このライフスタイルに耐えられない人間には移住は難しい。ただし、中規模都市でJRの比較的大きな駅があるような市の中心部に住むと「半都会・半田舎」生活のいいとこどりができる。この場合、一番良いのは転勤者である。何しろ、職場があるため同僚がいるし、そこを起点に程よい距離感のある人間関係を築くことができる。しかも、空気はきれいで食料品は安く新鮮。アウトドア好きな人は、少し車を郊外に走らせれば豊かな自然に接することができるだろう。
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