「歌舞伎の表面をなぞったような演技」 香川照之の猿之助代役に関係者はあきれ顔
主を失った澤瀉屋(おもだかや)の未来はこの人物に委ねられた。父親への自殺ほう助の疑いで18日に再逮捕された四代目市川猿之助容疑者(47)に代わり、七月大歌舞伎で主演を張る市川中車(57)=香川照之=。が、その評判は……。
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3日から始まった七月大歌舞伎。昼の部では「仮名手本忠臣蔵」の外伝として知られる「菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)」が上演されている。
演劇評論家の水落潔氏によれば、
「『菊宴月白浪』は中車さんの父で三代目市川猿之助を名乗った猿翁さんが1984年に復活させた演目です。最大の見どころは『宙乗り』。猿之助さんの代役となった中車さん演じる斧定九郎が大きな凧に乗り、舞台から客席後方へ舞い、さらに舞台に戻る『両宙乗り』というスペクタクルが盛り込まれています」
空を舞った中車には「澤瀉屋!」と大きな掛け声が送られ、四代目に代わり、大看板を背負う歌舞伎役者になったかのよう。
「関係者は鼻白んでいる」
しかし、内情を知る梨園関係者は、
「中車は歌舞伎の表面をなぞったような演技なんです」
と、こう首をかしげる。
「歌舞伎の世界に飛び込み10年がたち、本来なら役者として形になっているべきなのに、根本的な所作が今も身に付いていない。テレビや映画の仕事をこなし、日本舞踊の稽古も十分ではないので、結局、正味2年程度の経験しか積めていないようなものです」
この大一番でも、
「昔の三代目のビデオを見て研究したようですが、まねには限界がある。稽古では四代目猿之助やその父である四代目段四郎のお弟子さん方が“最低限の演技くらいは”という心持ちで、寄ってたかって指導しました。ただ、舞台の出来は良いとはいえず、関係者は鼻白んでいます」(同)
来年2月には、猿之助が出演し、総合演出も手掛ける予定だった「スーパ歌舞伎II 鬼滅の刃」を控えるも、こちらは「中止」が既定路線だという。
この関係者が続ける。
「『菊宴月白浪』はチケットの売れ行きも芳しくなく、今後、中車の責任公演で舞台を作るのは難しくなるかもしれません」
舞台を観劇した40代の“ひいき筋”に話を聞くと渋面でこう呟いた。
「歌舞伎なのに(ドラマ『半沢直樹』で香川が演じた)大和田常務が居るように見えてしまうのです」
代役失格――。手に入れるのが念願だったとしても、今の中車に澤瀉屋の看板はあまりに重すぎたのである。