「天地神明に誓って」は“佐村河内氏”も使ったフレーズ ビッグモーター社長の謝罪会見が「最悪のお手本」と呼べる理由
落ちません!
【日大「悪質タックル」会見】
これは2018年5月、関西学院大学と日本大学のアメフト部の試合において、パスを投げた後の関学のQB(クオーターバック)・A選手に対して、日大のB選手が危険なタックルをしたことに関連したもの。B選手は内田正人監督から「潰せ」と指示されたと述べた。その後、内田氏とコーチが会見をしたが、監督は前置きが多く要領を得ない発言に終始し、コーチは内田氏をなんとか守ろうと発言がコロコロと変わる。内田氏は「潰せ」と指示をしなかったと釈明したが、コーチが「私が指示した」と述べるなど、ここでも上下関係に伴うパワハラ疑惑が浮かび上がった。
そして最悪だったのがこの時は場を仕切った広報担当者だ。彼が記者に対して「一人で何個も聞かないでくださいよ!」「全部やるんですか?(全部質問に答えるのですか?) 何時間かかるか分からないじゃないですか」などと興奮したため、目立ちまくった。
挙げ句の果てには、「あなたのせいで日大のブランドが落ちますよ」と記者からなだめられると「落ちません!」と逆ギレ。一方、B選手は前日に単独会見を開いていた。実名・顔出しで相手選手に謝罪をし、さらには反省の弁を述べる様は逆に「見事な会見」と絶賛された。
こっちだって寝てないんですよ!
【船場吉兆「ささやき女将」会見】
2007年12月、大阪の名門料亭「吉兆」グループの「船場吉兆」が食品偽装や鮎の塩焼きの使いまわしをしていたことなどが発覚。謝罪会見には社長の湯木佐知子氏と役員で長男の喜久郎氏が登場。
佐知子氏は会見を行う喜久郎氏に「大きい声で」「ないです(と言いなさい)」「頭が真っ白になった……と(言うのです)」などとヒソヒソ声で囁いて発言内容を指示。この様子をマイクが拾ってしまい、喜久郎氏が母親に操られる情けないボンボンといった印象がついてしまった。この様子から「腹話術みたい」と言われ、佐知子氏は「ささやき女将」と呼ばれるようになった。船場吉兆は2008年5月に廃業。
【雪印乳業「私は寝てないんだ!」会見】
2000年6月、雪印乳業の北海道にある工場で停電のため、脱脂乳が4時間ほど20度の温度で温められた。これにより黄色ブドウ球菌が発生。この脱脂乳を大阪に運び、そこから各製品に加工したところ、約14780人の食中毒事故となった。
この件に関する会見を石川哲郎社長は連日行ったが、7月4日の会見では1時間で打ち切った。エレベーター前で詰めていた記者から時間を区切るべきではない、と反論されると「そんなこと言ったってねえ、わたしは寝ていないんだよ!」と発言。この様子がしきりと報道では流れることとなり、雪印の悪イメージを決定づけた。記者の「こっちだって寝てないですよ! そんなこと言ったら、10ヶ月の子供が病院行ってるんですよ! 寝てないとかそういう問題じゃないでしょう」という反論は立派だとされた。後に雪印は「メグミルク」に社名変更。
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