「もうアレとは縁を切ったけぇ」 実兄が明かすビッグモーター・兼重宏行前社長の素顔 豪華クルーザーに巨大な別荘…知人が明かす“成金ぶり”とは【スクープその後】
昨年、世間を騒がせたビッグモーターによる保険金不正請求問題。なぜこのような大規模な不正事件が起きたのか――。仰天の会見から約半年が経過したいま、改めて実の兄が語った兼重宏行前社長の素顔について振り返る。
(以下、「週刊新潮」2023年8月3日号をもとに加筆・修正しました。日付や年齢、肩書などは当時のまま)
【写真を見る】「いくらなんでもデカすぎ」茶室に噴水、滝まで… 兼重氏が住む約500坪の大豪邸
東京・目黒区青葉台の高級住宅地の中でもひと際目立つ、敷地面積約500坪の大邸宅。高さ8メートルの外壁の中に立つ地上2階、地下1階の家屋はエントランスに噴水、玄関正面には滝が流れ、庭には茶室が備わっている。
絵に描いたような大豪邸の主は兼重宏行氏。渦中の「ビッグモーター」の創業者にして前代表取締役だ。自ら代表を務める資産管理会社の名義で2016年に土地を購入し、20年に建物を新築。ちなみにこの地はそれ以前、ソニーを世界的企業に育て上げた盛田昭夫氏と一族が住んでいた。
購入の同年、ビッグモーターは本社を創業の地、山口県岩国市から東京都港区六本木に移したばかり。既に中古車業界最大手の座にあった。盛田氏の旧宅を購入したのは偶然なのか。あるいは自らを世界的名経営者に擬(なぞら)える“おごり”があったのか。
企業風土に問題が
しかし、山口の田舎から出て一代で従業員6千人、年商5200億円のガリバー企業を作り上げた成り上がり人生の栄光は、古希を過ぎた今になって、大きく崩れ去ろうとしている。
ビッグモーターの保険金不正請求に関する特別調査委員会の調査報告書が公表されたのは、7月18日のこと。以来、数多く報道されているため詳細は省くが、同社は顧客から預かった事故車両について、靴下に入れたゴルフボールでたたいたり、サンドペーパーでこすったりして故意に損傷させ、修理代を損保会社に水増し請求。保険金を過大に受け取り、売り上げを増やしていたのだ。
同社は不正の件数を1275件、請求総額を約5千万円としているが、もちろん氷山の一角だろう。
「経営体質に問題があったのは間違いありません」
と述べるのは、この問題を長く取材してきた、自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏である。
「利益至上主義で、『アット』と呼ばれる厳しいノルマを現場に課し、意に染まない社員を平気で降格させたり、自主退職に追い込んだりした。内部告発を無視し、取締役会も開かなかった。そうした企業風土が、現場の社員を保険金の水増し請求に追い込み、組織改善を妨げたのです」
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