自己申告制で1軍復帰? 丸佳浩の2軍落ちにクビをかしげる理由【柴田勲のセブンアイズ】

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秋広がカギを握る

 3年目の秋広優人が大活躍している。球団史上最年少で4試合連続本塁打をマークした。いまは出来すぎの感もあるが、自分でチャンスをしっかりつかんで3番をモノにした。

 もう少しで規定打席に達する。高卒3年目で規定打席クリアなら、球団では王(貞治)さん、私、松井秀喜、坂本勇人に次いで、5人目となる。

 4人全員2年目での規定打席到達だったが、私はプロ入り1年目を投手として過ごしており、1963年のシーズンはスイッチヒッターに転向、野手として実質1年目だった。

 この年、オールスター選出では外野部門トップ、セ・リーグでは王さん、長嶋(茂雄)さんに次ぐ3番目の得票数で選ばれた。

 全3試合に「1番・中堅」でフル出場、後楽園球場での第1戦では稲尾(和久)さんからのヒットを含む4打数3安打で「優秀選手賞」「打撃賞」を獲得した。3戦で15打数6安打だった。

 公式戦でも途中までは打率3割だったが、意識し過ぎてズルズルと落ちて最後は2割5分8厘に終わった。

 秋広からつい昔のことを思い出した。いずれにせよ、後半戦2連勝のスタートを切った巨人が勢いをさらに加速させることができるかどうか、秋広のバットがカギを握る。

調子が戻った選手ら

 岡本和が23日のDeNA戦で24打席ぶりに安打を放った。7月に入って下降線を描いていた。元々、一度不調に陥ると長いタイプで、今季は克服したかとみていたが、そうでもなかったようだ。復調のきっかけをつかんでほしい。

 吉川尚輝が懸案だった1番にやっと定着してきた。昨季はチーム最多89試合でリードオフマンを担った実績の持ち主だ。守備でも好プレーを連発している。反撃への大きなプラス材料だ。

 山崎伊織はコントロールが安定してきた。安心して見ていられるようになった。四球から崩れる心配がなくなったと思う。

 ヨアンダー・メンデスも約1カ月半ぶりに勝ち星を挙げた。これから乗っていけるのではないか。日本人選手もそうだが、特に外国人選手には気を良くすると、思わぬ力を発揮する傾向がある。

 あとは菅野智之と戸郷翔征だ。巨人はこの二人を軸に試合を作ってきた。前半戦最後では戸郷が好投しながらも勝てず、また菅野はわずか17球でKOされた。

 この二人に勝ち星が付くと、巨人もまた違ってくる。その意味で25日に先発する菅野の投球が大事になる。

 もう一度言うが、阪神、中日の6連戦は今後の巨人を左右する。丸の再登録は28日の中日戦以降になる。こちらも注目している。

(注※)今季は77試合で打率2割3分5厘、11本塁打、25打点、得点圏打率1割8分2厘。
(成績は24日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

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