34歳「丸佳浩」二軍降格の真相 打撃不振を予言していた巨人OBは「年齢の問題ではない」

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基本を守る意味

 テイクバックとは《野球・ゴルフなどのスイングで、反動をつけるために腕を後ろに引く動作》(「デジタル大辞泉」小学館)のことである。

「バッティングで重要なのは、ボールをバットの真芯に当てることです。ストライクゾーンは、上下は高め・真ん中・低めの3つ、左右は外角と内角の2つに分けることができます。3×2で6つのゾーンがあるわけですが、そのどこにボールを投げられても確実にバットの真芯で当てるためには、テイクバックからスイングまでにバリエーションは存在しません。基本通りという1つのフォームしか許されないのです」(同・広澤氏)

 打撃フォームは、極端なオープンスタンスでも、一本足打法でも、振り子打法でも、こんにゃく打法でも、様々なフォームがあっていい。しかし、テイクバックからバットを振り下ろしてボールを真芯に当てるまでは、“合理的”な軌道は1つしかないという。

「丸くんの打撃フォームをじっくり見てください。テイクバックからスイングに移る動きの中で、バットを不必要に上下させているのに気づくはずです。阪神などで活躍した鳥谷敬くん(42)が打撃不振に陥った時も似たことをしていました。テイクバックは本来、“静”から“動”に入るのが基本です。ところが、バットを動かして“動”から“動”にすると、何となくバットが動かしやすくなったような気がするのです。バッター心理として分からなくはありませんが、これだけは駄目です。基本を守るというのは、やはり大事なのです。このテイクバックだけはオーソドックスなものでないと、バットの真芯でボールを捉えることができません」(同・広澤氏)

貴重な選手人生の浪費

 ネット上に、とても興味深い動画がアップされている。丸のバッティングフォームの変遷を紹介したものだ。高校時代や広島の新人時代は、非常にオーソドックスなフォームで打っている。テイクバックもまさに基本通りだ。しかし、次第に独特なテイクバックが目立つようになっていく……。

「テイクバックの件は、最終的には巨人の打撃コーチに責任があると言わざるを得ません。とはいえ、これまで丸くんは常に優れた打撃成績でシーズンを終えてきました。彼ほどの身体能力だと、フォームに致命的な欠陥があっても打ててしまうのです。コーチは打撃成績がいいので見逃していたかもしれませんし、気づいていても言えなかったのかもしれません。いずれにしても、懸案事項が一気に噴出したのは明らかで、私は非常に心配しています」(同・広澤氏)

 フォームの欠陥は明らかであり、今後は二軍で修正されるはずだ──そう考える野球ファンもいるかもしれないが、広澤氏は「甘い見通しかもしれません」と指摘する。

「二軍のピッチャーが相手だと、丸くんであれば楽に打ててしまう可能性があります。本来なら、二軍でも打撃不振に陥り、自分のフォームを根本から見直す必要に迫られたほうがいいのです。ところが丸くんは、二軍では安定した打撃成績を残してしまい、安心した首脳陣が一軍に戻す。すると再び打てなくなってしまう。原因が分からず、対応ができず、丸くんの貴重な選手人生がどんどん失われてしまう。こんな予測も絵空事とは言えないと思います」(同・広澤氏)

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