マイナカードはこうして犯罪に悪用される 「なりすまし」「空き巣被害」の当事者が語る
個人情報が盗まれるケースも
詐取の対象は金銭や財産にとどまらない。
「『マイナンバー制度の導入に伴い、個人情報を調査中である』と言って、女性が来訪し、資産や保険の契約情報などを聞かれた」
「『マイナンバーの手続きについて、訪問して説明したい』との電話があり、後日訪れた男性が『手続きを代行する』と言って、氏名、生年月日を聞かれた」
など、個人情報が盗み出された件まで見られるのだ。
「詐欺というのは、時事問題に便乗して行われる傾向が強いんです」
と述べるのは、詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏である。
「国を挙げてのマイナ事業ですから、誰でも興味関心が高く、だましやすいという側面がある。また、マイナカードは保険証としても使えますし、口座や年金、税金などさまざまな情報と結びついていますから、詐欺師にとっても聞き出す材料がたくさんある」
「一瞬ホントに手続きしそうになった」
『これから起こる「マイナンバー犯罪」』の共著がある、元神奈川県警刑事の小川泰平氏も言う。
「“旬”の話題であるのに加えて、マイナの制度は複雑で、詳しく理解していない人も多い。だまされる可能性はより高いわけです」
この6月、神奈川県内のさる女性の元には「auじぶん銀行」を装った者から、こんなメールが来た。
〈お客さまのお取引を規制させていただきましたので、お知らせします。規制解除するには下記へアクセスし、お手続きしてください〉
その手続きとは、
〈サービスサイトにログイン後、マイナンバーのご提供(個人番号通知届出)〉
というものだった。
女性が言う。
「マイナンバーを入力しなければ、口座を解約するという内容です。ちょうど私はマイナカードの電子証明書の更新時期でしたし、その銀行の口座も持っていたので、一瞬ホントに手続きしそうになりましたよ」
もっともらしく今話題のマイナンバーのことが記されているがゆえに、他の詐欺に比べ、つい信じやすくなるということであろう。
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