乱立と奪い合いのせいで…スタートした夏ドラマに異変 「VIVANT」が「ラストマン」より低視聴率とは
民放GP(ゴールデン・プライムタイム)帯の夏ドラマがほぼ出揃った。8月スタートの「ブラックポストマン」(テレビ東京)を加えれば、今期は実に13本! しかも、放送時間が22時台に集中している。かなりの乱立状態だ。
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【画像】初回2ケタはたったの2本!? 厳しいスタートとなった夏ドラマの視聴率を見比べる
民放プロデューサーが危惧する。
「テレビというメディアが華やかなりし頃、21時スタートのドラマが乱立しました。ところが、テレビ離れが加速する今、いくら見逃し配信で稼げるとはいえ、GP帯だけで週に13本のドラマは多すぎます。しかも、数が多すぎるため、いずれのドラマもPRが行き届いていません」
今期、最も注目されていたのは、日曜劇場「VIVANT」(TBS)だ。堺雅人を主演に、「半沢直樹」でタッグを組んだ福澤克雄が原作・演出を手掛ける。阿部寛、二階堂ふみ、二宮和也、松坂桃李、役所広司といった超豪華キャストで、2カ月以上にわたるモンゴルロケを敢行……期待度は十分だった。
ところが、7月16日放送の初回視聴率は11・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯:以下同)だった。前出の民放プロデューサーが考察する。
「豪華キャストと海外ロケで、前例がないほどスケールの大きいドラマであることは広く喧伝されましたが、肝心のストーリーや役柄については放送まで一切明かされませんでした。視聴者の興味をかき立てる戦略だとは思いますが、初回放送の直前番組『バナナマンのせっかくグルメ!!』に堺雅人と阿部寛が出演し、バナナマンの日村勇紀とグルメ旅を行うなど、情報公開が中途半端でした。前クール『ラストマン―全盲の捜査官―』の初回14・7%どころか、平均12・9%をも下回ったことに、スタッフのあ然とした顔が目に浮かびます。どうせ宣伝するなら、しっかりとやったほうがいいということです」
初回6%台のドラマ
今年の夏ドラマは、前評判の割には数字が取れないものばかりという。
「2019年に話題を呼んだ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』を手がけたプロデューサーと演出による学園サスペンス『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ)は、主演の教師役に松岡茉優、生徒役には久々の連ドラとなる芦田愛菜で、2桁は堅いと思われていたようです。確かに初回、芦田の6分に及ぶ号泣演技が話題となり、翌日までの見逃し配信の再生回数は100万回を超えました。しかし、視聴率は6・5%と期待を裏切り、日テレのスタッフもうなだれていることでしょう」
“王道のラブストーリー”に戻った月9「真夏のシンデレラ」(フジテレビ)については、月9史上最低の視聴率6・9%でスタートしたことを「デイリー新潮」(7月17日配信)でも報じた。
「第2話は5・4%と、さらに数字を下げました。初回のみならず平均の視聴率も、月9史上最低を記録した『海月姫』の6・1%を抜く可能性が出てきました」
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