軍配が土俵に落ちる珍事も…大相撲で相次ぐ“行司”の失態 「土俵からの引退」を50歳にしたらどうか

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健全な勝負運営のために

 熱心な相撲ファンはご存じだろうが、行司の仕事は、勝負を裁くだけでなく多岐に渡る。

 番付を書くのは行司の大切な仕事だ。場所前に番付表を書くだけでなく、毎日取り組みが決まったら一枚一枚、相撲字で四股名を書き、土俵上で披露する。この相撲字を書くのも当然、行司の仕事だ。土俵入りの先導を務めるのも行司。土俵開きなどの祭主を務めるのも行司。つまり神社における神主さんの役割を相撲界で担っているのが行司なのだ。

 そこで改めて提案する。

 いわゆる行司の定年は65歳でいい。だが、「勝負を裁くのは50歳程度までにする」。その後は、祭主としての役割や、番付を書くなどの役割を主にすればいい。

 立行司や三役格は40代、早い者は30代でなってもいい。幕内格は30代、十両格は20代で昇進できる方が、希望があると思う。

 体力的な衰えや判断力の低下が否めず、横綱、大関陣の緊迫した取り組みを裁ききれず醜態をさらすより、そして大事な相撲に水を差すより、その方がよほど行司たちの立場を尊重できるし、健全な勝負運営が確保できると思う。勝負を卒業した行司の人材活用については、相撲協会や各部屋で果たすべき大切な仕事がいくらでもあるのではないだろうか。

小林信也(こばやし・のぶや)
1956年新潟県長岡市生まれ。高校まで野球部で投手。慶應大学法学部卒。大学ではフリスビーに熱中し、日本代表として世界選手権出場。ディスクゴルフ日本選手権優勝。「ナンバー」編集部等を経て独立。『高校野球が危ない!』『長嶋茂雄 永遠伝説』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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