果物、酢に乳酸菌飲料… 歯のエナメル質を溶かす飲食物「実名リスト」を公開、歯ブラシの選び方は?
すぐ歯を磨くのはNG?
どうしても唾液の出が悪いという方には酸を中和してくれるマウスウォッシュもあるが、費用的な問題で勧められないという。食用の重曹を水で薄めて口をすすぐのは安価でいいのだが、加部院長が自ら試してみたところ、とてもまずくて続けられなかったそうだ。では、唾液の出が悪い場合、食事の後にすぐ歯を磨いた方がいいのだろうか。
「虫歯の予防と酸蝕の予防はアプローチが違うのです。普通のご飯を食べた後なら虫歯予防にすぐ歯を磨けばいいのですが、冷やし中華のような酸っぱいものや、イチゴやミカンのように酸性の強いものを食べた後は酸蝕を考えてすぐに磨かない方がいいですね。歯が削られます。電動歯ブラシで磨くともっと削られます。それより、酸っぱいものを減らし、唾液を出すために刺激を与えることです。例えばキシリトール100%のタブレットをなめると唾液が出て酸を中和してくれます。また“トール”がつく糖アルコールは、分子量が大きいので虫歯菌が代謝できず、虫歯になりにくいのです。ただしキシリトール入りと書いていても、成分表示を見たらブドウ糖の方が多いという商品もあるので要注意です」
高齢者にガムはNG
このとき、私は聞き違えてキシリトール100%のガムを買ってしまったのだが、そのことを後日院長に言うと絶句していた。
若い人なら健全な歯が多いのでガムもいいが、高齢者はガムで歯が割れる恐れがあるから絶対に避けてほしいと言う。
「最近は歯が割れて抜歯しないといけない高齢者が増えています。根っこがパキッと割れるんです。年齢とともに歯がもろくなっているんですね。神経を取って金属の土台を入れて被せ物をしている歯は割れやすい。だから(高齢者には)ガムをかんでほしくないのです。
ガムのほかに硬いものも歯が割れる原因になります。たとえば、健康のためにナッツを食べる人がいますが、アーモンドで歯が割れることが多いですね。ナッツは上質な脂質なので体に良いのですが、歯には非常に悪いということです」
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