果物、酢に乳酸菌飲料… 歯のエナメル質を溶かす飲食物「実名リスト」を公開、歯ブラシの選び方は?

ドクター新潮 ライフ

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 虫歯、歯周病、知覚過敏……。歯のトラブルに注意している人は多いに違いないが、「歯が溶ける」ことを気にしている方はどれくらいいるだろう。実は、乳酸菌飲料や果物には意外な「落とし穴」が……。ノンフィクション作家・奥野修司氏による実体験レポート。

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週刊新潮」4月27日号の〈奇跡の町の「102歳医師」〉で疋田善平(ひきたよしひら)さんを紹介したが、その中で、疋田さんが100歳を迎える前に全部そろっていた歯がいきなり抜け落ちて食生活が大きく変わったと書いた。実は歯が抜けたのには理由があった。

 その前年、疋田さんは夏の暑さにやられて食事が取れなくなった。心配した奥さんが、乳酸菌飲料なら飲みやすいだろうと買ってきたところ、もとから甘党だったためすっかり気に入り、水がわりに飲むようになったという。それで元気を取り戻して安心したのだが、大好物になった乳酸菌飲料はその後もずっと飲み続けていたそうだ。やがて歯が1本2本と抜け落ちたので、あわてて地元の医者に診てもらうと「乳酸菌飲料で歯が溶けたのだろう」と言われたそうである。それを聞いた私は「乳酸菌飲料で歯が溶けた!?」と驚いたものの、その後はすっかり忘れていた。

「歯が溶けていますね」

 ところが、取材を終えてしばらくたった頃である。突然、私は前歯あたりにしみるような痛みをおぼえた。虫歯の痛みとは違い、空気を吸い込むと前歯に知覚過敏のようなひりひりとした痛みが走るのだ。そこで、定期的に検診してもらっている地元の歯科医院に連絡した。東京・町田市にある「町田メアリー歯科」である。院長は加部晶也さん。「患者さんの歯をできるだけ長く残したい」という院長の考えに共感し、2016年の開業時から私も患者の一人になった。

 カメラで撮った歯の写真をモニターで見ながら院長はこう言ったのだ。

「歯が溶けていますね」

 歯が溶けている? その瞬間、歯が抜け落ちた疋田さんのことを思い出した。

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