プール撮影会「貝殻水着」「マイクロビキニ」禁止でグラドルからは安堵の声も…18歳未満の参加に協会は苦慮

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「18歳未満の参加」に残るあいまいさ

 今回の許可条件で新たに加わったのが18歳未満の参加者についての項目だ。許可条件には「18歳未満のモデルを出演させる場合は、児童ポルノ禁止法、労働基準法、埼玉県青少年健全育成条例など法令・条例に抵触する行為は禁止とします」とある。

 埼玉の水着撮影会中止の流れの中、日本共産党埼玉県議会議員団や公園緑地協会が問題視していたのは18歳未満のモデルの参加だった。しかし、今回の許可条件では明確に18歳未満の参加を禁止とはしていない。参加には法令・条例に抵触するか否かが問われることになるが、そもそも18歳未満の水着での撮影はこれらに抵触しないという声もある。

 6月18日の読売新聞オンラインの記事では、青少年保護に詳しい園田寿・甲南大名誉教授が「撮影会には、刑法や児童買春・児童ポルノ禁止法違反は見当たらない。判例に従えば、性器などが見えない限り『わいせつ』ではない。学説上、18歳未満の水着は「衣服」と理解され、水着姿の写真自体は児童ポルノに該当しない」とし、18歳未満であっても出演を強要した場合などを除き「イベントに参加したいという個人の意思は尊重されるべきだ」とコメントしている。

 埼玉県の条例に抵触するかについても、取材した公園緑地協会の担当者は「未成年が参加しているだけでは条例違反にはならない。未成年が客の性的好奇心をそそる恐れがあったり、客に異性の姿勢を繰り返し見せる行為があれば条例違反になる。ただちに水着で撮影しているからといって条例に抵触するものではない」と18歳未満の水着=NGではないと話した。

 法律、条例の解釈によって捉え方がいかようにも変わるが、担当者はこの部分があいまいであると認めた上で「現時点ではこの書き方しかない」と苦しげに話した。

「表現の自由」に課題も

 そもそも県営施設側が許可条件を作り、事前規制をすること自体が表現の自由の侵害にあたるのではないかという議論はあってしかるべきだろう。

 こうした事前検閲との指摘について、公園緑地協会の担当者は「表現の自由という部分に関しては私たちが明言できることはないと思う。今後行われる検討会において、専門家の方々に入っていただいて、考えていくことにはなる」とした。

 担当者が話すように来年度以降、県営プールで開催される水着撮影会の許可条件については、9月にも関係者や専門家等からのヒアリングを実施し、年内に決定する予定だ。

 ヒアリングに関しては法律の専門家に加え、「撮影会に出演されてきたモデルさん、さらに撮影会の主催団体にも何らかの形で意見をうかがおうと考えている」(公園緑地協会の担当者)という。既に公園緑地協会には検討会の場に入りたいという撮影会の主催団体からの問い合わせがあるという。

 性の議論とルール作りにおいては、実際の当事者である現役の出演者やメーカーやプロダクションに十分なヒアリングを行わないまま議論が進み、施行後に多くの混乱や反発を呼んだ「AV新法」という悪例がある。

 取材した緑地協会の担当者はAV新法の問題も認識しており「どういう形になるかはわからないが、実際の当事者の方に参加をしていただき、ご意見はうかがいたいと考えている」と当事者不在での議論は避けることを明言した。

 なお今回のルールについてはすでに9月、10月に開催を希望する団体に通知されているといい、9月、10月の間にしらこばと水上公園では6回、川越水上公園では9回、加須はなさき公園では1回の撮影会が予定されている。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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