【藤浪晋太郎】電撃移籍にみる「オリオールズ」と「アスレチックス」の本心 「リードしている試合は任せられない」という根拠

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手堅い先発陣

 打線が好調だから、少しくらいなら点を取られても取り返せるというわけだ。防御率の悪い藤浪には朗報だろう。

「オリオールズの投手陣と言っても、日本で知られる選手はいないでしょう。しかし、先発陣は手堅い投手が揃っています。例えば、タイラー・ウェルズ投手(28)は7勝5敗の成績ですが、WHIP(1投球回あたりの与四球・被安打数)が0・98という驚異的な数字です。0・98は『全く無駄なランナーを出さない』ということを意味します。また、ディーン・クレーマー投手(27)は防御率が4・59と良くはないのですが、それでも10勝4敗の成績です。『打たれるし点も取られるけど、何とか持ちこたえる』という粘投で評価されているのです」(同・友成氏)

 すでに藤浪は、アスレチックスで“先発失格”の烙印が押されている。オリオールズでも先発陣の一角に割り込める余地はなさそうだ。

 おまけにオリオールズには、絶対的な守護神とセットアッパーがいる。フェリックス・バティスタ(28)は42試合に登板して4勝1敗26セーブ、防御率1・00、奪三振88と圧倒的な成績だ。時速160キロ台の剛腕投手はファンの人気も高い。今年のオールスターには選手間投票で選出された。

悪い被安打率

 8回に登板するセットアッパーのヤニエル・カノ(29)も1勝1敗22ホールド4セーブ、防御率1・58、奪三振40と素晴らしい成績だ。やはり彼もオールスターに出場を果たした。要するにオリオールズは、8回と9回の“勝利の方程式”が盤石であり、藤浪に出る幕はない。

「防御率の悪い藤浪投手が、セットアッパーとして6回や7回のピンチに投球することは考えられません。MLBのブルペンでは7、8人の投手が待機することが普通で、1人は守護神のクローザー。さらに2人がセットアッパーで、彼らは勝っている試合で投げます。一方、負け試合で投げるためのピッチャーも数人います。ロングリリーフ担当は、先発が4回でノックアウトされた時などに登板します。さらに、中盤から終盤にかけて『敗戦濃厚とはいえ、なるべく点は与えず、打線の反撃を待ちたい』という時に投げるミドルリリーフ担当がいます」(同・友成氏)

 友成氏によると、藤浪はミドルリリーフかロングリリーフの担当として登板する可能性が高いという。今の成績では、リードしている試合を任せることはできない。

「藤浪投手のデータを見ると、ランナーを背負った時の数字が悪すぎます。ランナーなしの被安打率は2割1分6厘ですが、ランナーが出ると3割3分0厘まで上昇します。さらに、得点圏にランナーがいると3割5分0厘。ノーアウト満塁に至っては6割6分7厘です。ワンアウト満塁の場面は3回あったのですが、3回とも打たれているので10割。ツーアウト満塁も5割です」(同・友成氏)

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