米国がウクライナ軍にクラスター弾供与で、ワイドショーのコメンテーターが浅はか過ぎる発言 「彼らに苛酷な現実は見えていない」
鳩山元首相のツイート
ちなみに、アメリカ、ウクライナ、そしてロシアは、オスロ条約に加盟していない。一方、外務省のホームページによると、日本は2008年12月に署名している。
「非人道的な兵器がウクライナ国内で使われようとしている。今こそ日本人は反対の声を上げるべきだ」──Twitterには、このような内容の投稿が目立つ。中でも話題になったのが、鳩山由紀夫元首相(76)とお笑いタレントのラサール石井氏(67)のツイートだ。鳩山元首相、ラサール氏の順で紹介しよう。
《クラスター弾はサッカー場の何面もの広さに子爆弾をばら撒くので民間人も無差別に殺戮する。米国はそのクラスター弾をウクライナに提供するという。日本はそのことを追認するのではなく反対すべきだ。米国には当たり前のことまで言えないのか》
《クラスターは最大限の被害を与えるためにつくられている。「被害を最小限にとどめる」できる訳ないじゃん! ならばクラスターには反対するのが理屈に合ってる。 たまにはアメリカになんか反対してみろよ》
ちなみにラサール氏のツイートは、松野博一官房長官(60)が10日の記者会見でクラスター弾の供与問題について言及したことを踏まえたものだ。
テレ朝の問題発言
7月10日放送の「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系列)でも、アメリカがウクライナにクラスター弾を供与する問題を取り上げた。番組コメンテーターを務める立教大学ビジネススクール教授の田中道昭氏(58)とジャーナリストの増田ユリヤ氏(58)が、それぞれコメントしている。
田中氏は「正直、ちょっと禁じ手にね、手を出したという感じです」と供与に批判的な感想を述べ、ウクライナ軍が“非人道的”な兵器を使用することで「ロシアの攻撃がエスカレートする恐れがある」と懸念を示した。
増田氏も、ウクライナ国内でクラスター弾が使用されれば不発弾などの影響で国民が大きな問題を抱えると指摘。翌11日からリトアニアでNATO(北大西洋条約機構)の首脳会議が開かれることから、「譲ってはいけないところは譲ることなく」、クラスター弾の使用を思いとどまらせるよう議論を活発化させるべきだと訴えた。
田中氏も増田氏も軍事の専門家ではない。しかし、軍事の専門家から見ると、2人の発言は問題が多いという。
「クラスター弾の供与に反対する“識者”の方々は、ウクライナの人々が下した苦渋の決断を一体どのように受け止めているのでしょうか。少しでも軍事的な知識のある政府関係者なら、好き好んで自国内でクラスター弾を使うはずがありません。喜んで使うのは侵略側の軍隊だけです」(同・軍事ジャーナリスト)
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