【棋聖戦】藤井七冠が防衛 あきらめが早い棋士ではない佐々木七段があっさり投了したのはなぜか
「誕生日は意識していない」
対局後、初タイトルの夢破れた佐々木は「非常に厳しい局面が続き、中終盤で間違えた」などと言葉少なに語った。そして「海外対局(第1局はベトナム)を含むタイトル初挑戦で、経験することが多く勉強になった。大舞台でも自分の将棋はある程度できた」とシリーズを振り返った。
勝った藤井は「積極的に動かれる展開になって序盤から苦しい展開を強いられた。対処が分からず、思わしくない展開になった」などと振り返った。藤井は快勝の一局でも「苦しかった」と口にするが、今回は確かに苦しい場面が続いた。それでも最終盤の「6八と金」の王手で勝ちが見えたという。
対局翌日の7月19日で21歳になる藤井は、この日が「二十歳最後の対局」だったが、「誕生日は意識していなかったけど最後まで集中しました」と冷静だった。20年7月に17歳11カ月で初タイトル(棋聖)を獲得した藤井だが、プロ入り後、誕生日直前の公式対局では負けていないとか。
王位戦での奮起に期待
藤井と佐々木とはこの夏、注目の王位戦七番勝負が残っている。こちらは2日制。7月20日現在、藤井の2勝、佐々木はまだ勝っていない。師匠の深浦康市九段(51)への恩返しのためにも「いい将棋を指せるように精いっぱい頑張りたい」と語った佐々木の奮起に期待したい。
また、藤井は王座戦五番勝負の予選でも8月4日に予定されている挑戦者決定戦に進出している。豊島将之九段(33)に勝てば、永瀬拓矢王座(30)に挑戦することになる。王位戦でも佐々木を退ければいよいよ、「前人未到の八冠」を目指すことになる。
藤井は終局後、「今回は防衛できたが、王位戦のシリーズは続いており、来月には王座戦の挑戦者決定戦もある。コンディションを整え、よい将棋が指せるよう頑張りたい」と話した。
また、今後については、「押されている将棋も多く、来期が始まるまでに実力を高めたい」と決意を語った。
(一部、敬称略)