24年の米大統領選はケネディJr.とトランプの戦いになるか 両者の主張に驚くほどの共通点

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世界の規範ではなくなった米国、大統領もその要因に

「現在の世界の安全保障が直面している最も深刻な脅威は米国そのものだ」

 米国の外交問題評議会の会長を20年間務めてきたリチャード・ハース氏は、退任直前の6月末に行ったインタビューの中でこのように述べた(CGTN Japanese)。

 外交問題評議会は第一次世界大戦後の1921年、英国の王立国際問題研究所(チャタムハウス)の姉妹機関として設立された民間組織だ。主な目的は米国の外交政策に関する諸問題についての研究であり、外交問題を扱う国際的な雑誌『フォーリン・アフェアーズ』を刊行していることから日本でも有名な存在だ。

 米ブッシュ(父)政権時代に大統領上級顧問(中東政策担当)を務めるなど外交の分野で豊富な経験を有するハース氏は、イラク戦争開戦直後の2003年7月に外交問題評議会会長に就任し、米国の外国政策を長年にわたってリードしてきた。

 そのハース氏がなぜ今、このような衝撃的な発言を行ったのだろうか。ハース氏が問題視しているのは、昨今の米国政治情勢だ。

 政治が機能不全に陥っている米国は世界の模範ではなくなり、同盟国は米国の振る舞いを信頼しなくなった。そればかりか、世界に予測不可能性をもたらし、有害な存在になってしまった、というのがハース氏の見立てだ。

 ハース氏は「私は過去半世紀のほとんどを他国に関する研究に費やしてきたが、現在は米国の研究に転じる用意をしている」と語っているが、最も懸念しているのは、国を統合する役割を果たしてきた大統領自身が分断をもたらしていることだ。

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