オールスターに落選「村上宗隆」の苦境 極度の不振は本人の問題だけではないとの指摘が

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マルチ本塁打にも笑顔を見せず

「8回、ライトスタンドに弾丸ライナーの打球が飛び込み、村上は打球の行方を確かめると、ポイとバットを捨て、ダイヤモンドを一周したのです」(前出・スポーツ紙記者)

「バット捨て」は好調なときに見せていたお決まりのポーズ。だが、ダイヤモンドを一周するときの村上はムッとしたまま。ベンチに戻ってハイタッチを求められているときも笑顔はナシだった。

「毎日、試行錯誤してるけど、うまくいかないことばかりで。いいことばかりじゃない。そう言い聞かせながらやってきましたけど、なかなか結果が出ずに悔しい思いをしてたので」

 試合後の村上のコメントだ。前出の関係者によれば、村上は自身の持ち味は「レフト方向のホームラン」と捉えており、反対のライト方向にしかホームランを飛ばせないうちは不振状態だと捉えているそうだ。

「不振が長引いているのは、精神的なものが大きいのでは」(前出・関係者)

 村上は練習熱心な選手でもある。好調だった昨季はもちろんだが、不振に喘いでいる今季も懸命にバットを振り続けているという。練習しても復調の兆しが掴めない状況が、気持ちの面でマイナスになっているのだ。高津監督にすれば、後半戦も苦しい展開が続きそうだが、チーム低迷の時期だからできることもある。

「小澤怜史が先発のチャンスをもらい、6月下旬以降、ローテーションをしっかり守っています。小澤は20年オフにソフトバンクを戦力外となり、ヤクルトに育成選手契約で拾われました。21年途中、サイドスローに挑戦し、支配下、一軍、リリーフから先発とステップアップしました」(前出・同)

 そういえば、ヤクルトにはかつてこんな異名もあった。「再生工場」。野村克也氏が監督だった時代、他球団をクビになった選手にチャンスを与え、同時に「頭を使え。オマエの長所は何だ?」と言い、意識改革を施してきた。

 高津監督は選手として、恩師のもとでリ・スタートした者たちを見てきた。村上、山田を「高津版・再生工場」で復活させなければ、ヤクルトの浮上はない。

デイリー新潮編集部

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