「住吉会」ボリビア人幹部の逮捕で大ダメージ 6億円超の賠償金請求が認められた「使用者責任」とは

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怪文書が乱れ飛ぶ事態に

 2023年4月には、住吉会傘下組員らがかかわった特殊詐欺の被害者が同会の福田特別相談役(=当時、現・最高顧問)ら3人に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は計約6350万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 2023年4月のケースはまだ1審段階だが、他に判決確定や和解済みのケースもあり、結果的に暴力団を財政面で追い詰めることになっているようだ。

 また、使用者責任訴訟と関連する形で、2022年10月には、警視庁が関功前会長を容疑者死亡のまま強制執行妨害容疑で書類送検したこともあった。

「関前会長は使用者責任に基づく賠償命令を受けたにもかかわらず、千葉県柏市に所有する土地と建物を親族に贈与し、裁判所による資産の差し押さえを妨害した疑いが持たれました」(同)

 この土地と建物をめぐっては、住吉会の現体制を告発する怪文書が乱れ飛ぶ事態となっている。

5代目山口組の渡辺芳則組長も

「体制が変わった後にはそういった内部抗争はつきものですね。もっとも、住吉会の現体制にとって頭が痛いのは怪文書の件ではなく、使用者責任に基づく賠償の方でしょう」

 と、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現・NPO法人「五仁會」主宰)。この「使用者責任」は、ヤクザたちのアキレス腱となっているのだ。

「5代目山口組の渡辺芳則組長も使用者責任を過去に問われ、そのこともあって体調を崩したと指摘されています」(同)

 少し古い話だが、この件についても少し触れておこう。1995年、5代目山口組系の組員が、私服で警戒中の京都府警の警官を抗争中の会津小鉄会系組員と間違えて射殺。警官の遺族が渡辺組長を相手取り、損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。

 2004年に最高裁は渡辺組長側の上告を退け、約8000万円の賠償金を遺族に支払うとした2審判決が確定した。

「渡辺組長はこの件を相当気にしていたようで、確定後間もなく長期静養に入り、05年には引退しました」(同)

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