「住吉会」ボリビア人幹部の逮捕で大ダメージ 6億円超の賠償金請求が認められた「使用者責任」とは

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上部団体は13代目幸平一家・加藤連合会

 住吉会の4次団体の幹部が、逮捕監禁致傷などの疑いで静岡県警に逮捕された。特殊詐欺のリーダー格と見られ、グループを抜けようとした男性を脅迫して監禁し、ケガをさせたとされる。住吉会と特殊詐欺の関係はこれまでにも問題になっていた。すでに特殊詐欺に関与した組員らの使用者責任を問われる形で、組織トップが詐欺の被害者から提訴され、相次いで賠償命令が下っている。中には6億円超という巨額の賠償金を支払えという判決もあり、暴力団にとっては頭痛の種となっているようだ。今回の逮捕も、そうした展開を見越してのものだという。

 静岡県警に逮捕されたのは、13代目幸平一家・加藤連合会を上部団体に持つ聡仁組(本部:東京・新宿)の幹部・岡崎義瑠ことチャベス・ゲレロ・ギジェルモ容疑者。

「特殊詐欺グループを抜けたいと訴えた男性を静岡県内から東京都内のビルへ移動させて監禁したうえで顔面を殴打し、“逃げようとしたら殺す”を脅すなどした疑いがもたれています。グループを抜けるには1300万円を稼ぐまでかけ子をやれと、具体的な数字まで出して脅したとも。事件は2022年3月に発生したものです」

 と、社会部デスク。

「使用者責任」認定の歴史

 チャベス容疑者はボリビア国籍で、組織の懲罰委員長を務める幹部だった。

 13代目幸平一家・加藤連合会は住吉会の中枢組織ゆえに、聡仁組の土屋研二組長は住吉会会長付で、幸平一家でも本部長補佐の立場にある。

 前述の通り、住吉会は特殊詐欺関連での訴訟を多く抱えていた。いずれも暴力団対策法が定める使用者責任を問う訴訟で、判決は彼らに厳しいものばかりである。いくつか振り返ってみることにしよう。

 2021年3月、住吉会系組員らによる特殊詐欺事件の被害者が、同会の関功会長(=当時、22年に死去)と元会長の福田晴瞭(はれあき)特別相談役(=当時、現・最高顧問)を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は住吉会側の上告を棄却。両幹部に計605万円を支払うよう命じた1審・2審の判決が確定した。

 2021年6月、住吉会傘下の組員が関与した特殊詐欺をめぐって、被害者やその家族らが損害賠償を求めての同会トップらを提訴していた件で和解が成立し、被害額に上乗せした約6億5200万円を住吉会側が支払った。

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