妻のママ友の通報で12年越しの不倫がバレた…それでも「どちらか選べなんて言われるのはなんだか寂しい と言う44歳夫の特殊事情

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前編【父親が自死した後、母親は新興宗教に走り…44歳男性の壮絶な生い立ちがその後の人生に与えた大きな影響とは】からのつづき

 里田雅充さん(44歳・仮名=以下同)は2ヶ月前に妻に不倫がバレた。どこか他人事の彼は、15歳の時に父の自死を経験している。以降、母は新興宗教に取り込まれ突然再婚、妹は非行に走り家庭は崩壊。上京し働き始めた雅充さんは5歳年上の春那さんに出会い恋心を抱くが、交際には至らず、彼女は仕事のために海外へ行ってしまう。

 ***

 31歳直前、春那さんが帰国したと連絡を寄越した。やっとふたりでゆっくり会うことができた。再会して、やはり自分が春那さんを忘れられないと彼は実感した。

「つきあってほしいと言ったんですが、『私はもう36歳だよ。あなたはもっと若い人と結婚したほうがいい』って。僕のことが嫌いなのかと聞いたら『大好き』と言うんです。だったら結婚しようと一足飛びに言ったら、彼女は笑っていました。どうも結婚ということがピンときてないみたいだった。僕だって結婚がしたいというわけじゃない。ただ、春那と一緒にいたかったんです。その気持ちはわかるし、ありがたいけどと言うし、何度か彼女の部屋に泊まったりもしたのに1年後、彼女はまた海外へと飛び立っていきました。彼女、相当優秀だったんでしょうね、職場からまた長期出張を命じられたようです」

 縁がないのかとがっくりきた。それなら自分も一生、ひとりで生きていこうと決めた。その後、仕事の幅を広げるためにと、職場から勧められた5日間にわたるセミナーに参加したとき、愛佳さんと出会った。たまたま隣同士に座って言葉を交わしたのがきっかけでセミナーの日程が終了した日に、ふたりで飲みに行った。次の週末には食事に行き、次の週末には彼が彼女の部屋に転がり込んでいた。

「早かったですね。知り合って2ヶ月で婚姻届を出しました。話が進むときはそういうものなのかもしれない。愛佳は1つ下でした。婚姻届を出してすぐ妊娠がわかった」

 子どもが産まれるならと中古マンションを購入、妻が安定期に入ったころに引っ越した。あっという間に家庭の形ができあがったと彼は苦笑した。春那さんとは知り合って10年もたつのに、「形」を作れなかった。それが運命なのだろうと彼は感じたという。

春那さんとの縁は切れず…

 ところが子どもが1歳になったころのことだった。春那さんから「帰国した」と連絡があった。彼女には結婚したことも子どもが産まれたことも伝えてあったが、彼女はまったく忖度することなく「会いたいなあ」と言った。雅充さんとしても異論はない。

「なんというのか、春那とはある種の“腐れ縁”というか……。それは春那の言葉なんですけどね。僕は腐れ縁だなんて思っていなかったけど、言われてみれば、形をなさず約束もせず、会えるときに会うことでなんとなく気持ちが一致している関係だったから、腐れ縁も悪くないなんて思ってた。結婚したからといって、春那との関係は変わりないし、それがいけないともあまり思っていなかったんです」

 結婚前からの友人関係を、結婚後に切る人はそういない。それと同じ気持ちだったと彼は言う。だがもちろん、そこに「恋愛感情」も当然引きずっていたわけだから、世間から見たら「不倫」に過ぎないのだが。

「会えばやはり春那への思いが募る。彼女は、これからも海外出張は続くと思うけど、また会おうねと快活でした。食事をして彼女の部屋に寄って帰りました。妻は出産を機に仕事を辞めていた。その日も子どもとともに寝ていました。あまり僕の行動を束縛したり詳細を聞いたりしないタイプなので助かっていたんですよね」

 30代半ばになり、彼自身も仕事がどんどん忙しくなっていった。だが、「次に会う約束をしない」春那さんとの関係は細々と続く。会えるときは週に3回会ったこともあるが、1,2年会わないときもある。それでも完全に縁が切れることはなかった。ふたりとも縁を切るつもりもまったくなかったのだろう。

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