山本由伸に似てきた…オールスター出場、オリ「山下舜平大」が高卒3年目で開花した理由

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新人王レースもオリックス選手が

 しかし、似てきたのは向上心だけでなかった。7月6日の楽天戦。先発した山下は3失点で敗戦投手になったが、「自分の真っすぐも(疲れで)落ちてきてますし、そこでカーブだったりというのは大事になってくるのかなと思います」と、冷静に敗因を述べた。初めて先発ローテーションを回り、これが11試合目。20歳で客観的に自分の体調を分析できるのもさすがだが、そろそろ、体の疲れも誤魔化せなくなってきた。

「山本は走者を背負った場面などピンチになると、自分のいちばん自信のあるボールを投げるんです」(前出・同)

 山本の“攻める”姿勢が継承されたのだろう。山下がピンチの場面で選んだ勝負球は「直球」だった。カーブなどの変化球を織り交ぜていくことも大切だが、逃げなかった。「真っすぐも(疲れで)落ちてきた」のコメントは単なる反省ではなく、悔しさも含まれていたようだ。そんなハートの熱さも、投手・山下の魅力である。

「オリックスは若い選手が順調に育っています。宮城、山下、山崎颯一郎(25)、宇田川優希(24)、野手でも茶野篤政(23)らが一軍で活躍しています。茶野は昨年ドラフトで育成1位指名され、開幕直前の3月24日に支配下登録を勝ち取り、開幕スタメンにも名を連ねました。その茶野がバテてきたら、2年目の野口智哉(23)が昇格し、育成で契約したセデーニョ(24)が頭角を現し、4番も務めるほどです。ファームで特別な練習をさせているわけではないですが」(前出・在阪メディア関係者)

 強いて挙げるとすれば、ファーム首脳陣も「勝ちにこだわる」と明言していること。ファームの最大の目的は選手の育成だが、「勝つことから得るもののほうが大きい」と、勝敗にこだわった選手起用がされている。

「オリックスの春季キャンプ地である宮崎県・清武町では、一軍(メイングラウンド)と二軍(サブグラウンド)が同じ場所にある運動公園施設内で練習します。二軍は一軍選手のプレーを目の当たりにすることができるので、自分に何が足りないのか、常に考えさせられるのです」(前出・同)

 こうした環境も山下の素質開花を加速させたのだろう。

「目下、新人王レースは山下が先頭を走っていますが、茶野も有力候補であり、宇田川にもまだその権利は残されています。チームメイトとの出世争いも山下の発奮材料になっているようですね」(前出・同)

 漏れ伝わってくる話では、今オフ、山本がポスティングシステムを使ってメジャーリーグに挑戦するという。山下には球宴で「ゴールドのスパイク」に相応しい投球で、エース継承のきっかけも掴んでもらいたい。

デイリー新潮編集部

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