台湾で日本をテーマにした宿泊・観光施設が増加 100万円で造った鳥居の効果
入口には本格的な朱塗りの鳥居、傍には願いごとが書かれた絵馬を吊るすスペース。そしてうちわを片手に浴衣を着た女性たち……。どこかの日本の神社の夏祭りを思わせる風景だが、ここは初夏の台湾南部、高雄市の山あいに昨年末に開幕した「千野村」(チェン イエ ツン)というアミューズメントパークだ。
【写真】いろいろ突っ込みを入れたくなる気も…台湾の“疑似日本”施設にある鳥居
「千野村」のサイトを覗くと、「浴衣で卒業記念写真祭り」などと銘打ったイベント案内。そしてトンカツ、たこ焼き、焼き魚定食など提供する和食の紹介が掲載されている。この施設のなかで、日本を歩いているような感覚に浸り、和食を楽しんでもらおう、というコンセプトのようだ。
ここ2~3年の間に、台湾ではこうした日本をテーマにした宿泊施設や観光施設が増えている。コロナ禍により、以前のように自由に日本の観光地へ行けなくなった反動なのだろうか。筆者はそのいくつかを尋ねてきた。
施設のアイコンにはたいてい鳥居が選ばれている。日本を訪ねた台湾人がSNSなどに投稿していた写真がヒントだろう。かねてより京都の伏見稲荷大社の千本鳥居が絶大な人気を誇っていた。鳥居が折り重なるようにつづく歩道は、幻想的なイメージとその鮮やかな色彩で台湾人の心をつかんでいた。鳥居を台湾の和風施設にとり込めば成功するかもしれない……そんな思惑が台湾の鳥居ブームが生まれたと想像できる。台湾人の「ロスト日本旅行」の感覚をうまくついた。
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