標高3メートル「日本一低い山」に登山客が殺到 東日本大震災から12年後の「山開き」が笑顔に包まれた理由

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落石注意

 全員が山頂に到達すると、太平洋の抜群の眺望をバックに、誰からともなく万歳の声と笑顔があふれた。小さな小さな山ではあるが、付近にはいくつかの看板が登山者に呼び掛けている。いわく、

「落石注意」「高山植物採取禁止」「クマ出没注意」「遭難注意」

 そのユニークさに、蒲生の人たちの日和山への思いが込められているようだ。登頂者にはその後、日本一の「登頂証明書」が配られ、皆、さらに喜んだ。

 クロアチアから留学し4年になるという男性は、東北大学で地震の研究をしているという。日和山の印象を尋ねると、

「It's cool! And Crazy,unbelievable」

 信じられないほど素晴らしいと、こちらも微笑みを絶やさなかった。

 大災害の中で苦しんだ蒲生の人たちへのささやかな贈り物、それが「日和山」「日本一の低山」なのかもしれない。

 今年8月11日には、山の日イベントとして日和山登頂会が開かれる。登山者には、蒲生干潟のヨシで作られた「特別登頂証明書」が配られる。

ノンフィクションライター 青柳雄介

デイリー新潮編集部

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