「山口5人殺害事件」で特別抗告 『つけびの村』著者が語る「保見死刑囚はかわいそう」への違和感

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「お前ら殺しちゃろうか」

 保見死刑囚の精神鑑定の結果は、判決文に詳しい。

<被告人の場合は、自分のものの見方だけにとらわれる、自分が正しいという発想をしやすいといった性格傾向と、周囲から孤立した環境(人との付き合いを好まない性格傾向にも関係している。)が大きく関係して本件妄想を持つようになったと考えられる。妄想が孤立を深め,孤立がまた妄想を深めるという悪循環も起こっていた>

 事件前の保見死刑囚の様子を聞けば、年老いた両親を看取ったのち、集落の行事にも参加しなくなった彼は、犬の散歩中にすれ違った住民らを「お前ら殺しちゃろうか」などと脅かすこともあったという。そのため、彼を恐れる者もいた。彼に「いろいろ言われる」からと、田んぼを手放した者もいる。“妄想が孤立を深め、孤立がまた妄想を深める”という表現は、実態に当てはまるように感じる。

 ネット上には、保見死刑囚が受けていた“いじめ”の実例として“草刈り機を燃やされた”というエピソードが挙げられるが、これについても、かつて現地の住人たちに尋ねたことがある。すると、

「あの人は草刈機を持ってなかった。農家じゃなければあまり草刈機はいらない。それに草刈機も、燃えるようなもんじゃない」

「草刈機を燃やしたとかなんとか、聞いたことあるじゃろう。だけどあれはわし、よう知らんのよ」

 草刈機を死刑囚が所有していたかどうかも怪しい有様だった。

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