「年少扶養控除を復活させるべき」 産婦人科医・宋美玄が語る出生数減少の理由

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「国は何もせんといて」

 それならば、まず「年少扶養控除」を復活させるべきです。15歳までの子を持つ親に適用されていたこの控除は民主党政権時代に子ども手当(現・児童手当)が導入される際、廃止されました。その後、自民党政権になり、児童手当に所得制限がついたのに、この控除は復活しないまま。児童手当ももらえない、控除も適用されない家庭があったのですから、まるで国による詐欺のように感じます。しかも、国は高校生に児童手当が拡充されるにあたり、16歳から18歳の子どもの扶養控除を撤廃しようとしています。あきれて「もう国は何もせんといて」という暗たんたる思いです。

 産婦人科医としての懸念は、今後人口が減少していくにつれ、産院も減っていくことです。すると、自宅から半径100キロ圏内に産院がどこにもありません、ということになりかねない。地方ではすでにそういう地域もありますが、都市部でも産院を自由に選べる状況は今後維持できないと思うので、国によって計画的に産院を造っていただきたい。そうでなければ、安心して出産できる環境が整わず、より一層の少子化を招くことになってしまいます。

宋 美玄(そんみひょん)
産婦人科医、医学博士。1976年、兵庫県神戸市生まれ。2001年に大阪大学医学部を卒業し、17年に丸の内の森レディースクリニックを開業。臨床医を務める傍ら、テレビ・雑誌などへの出演・掲載多数。小学校6年生と2年生の子を持つ。

週刊新潮 2023年7月13日号掲載

特別読物「三賢人が斬る『マイナカード』より重大な“日本の難題” どうする『少子化問題』」より

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