都会人の憧れ「田舎暮らし」の知られざる“大敵”地方出身のライターが移住希望者に必ず「質問」することとは

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田舎暮らし“最大の障壁”

 地方創生などの観点から盛り上がりを見せ、政府も推進しているのが田舎暮らしだ。近年ではコロナ騒動のもとで、三密が避けられるという理由からも注目を集めたことがある。

 筆者はかつて、故郷の秋田県羽後町で町おこしの企画に関わった縁で、いまだに移住の相談を受ける。その時に必ずする質問がある。「あなたは虫が大丈夫ですか?」ということだ。

 虫。

 昆虫である。

 最近では、昆虫食なるものが話題になっているようだが、その虫である。

 あなたは虫が平気だろうか。もし苦手だというのであれば、田舎暮らしは絶対におすすめしない。都会にとどまり、優雅で快適な都会ライフをエンジョイするべきだ。

 とにかく田舎では虫がそこらじゅうに出る。例えば、静かな環境を求めて山間部の集落に移住したとしよう。人間と遭遇する機会は少なくなる反面、虫と遭遇する確率は劇的に上がる。毎回虫に遭うたびに「ぎゃーーーっ!!」と悲鳴をあげているようでは、とても静かな生活など送れないであろう。

虫との共存は避けられない

 書店に行くと田舎暮らしをすすめる本が並んでいて、田舎の牧歌的な雰囲気が強調される。自然の中でマイナスイオンを浴びると、心身ともに健康になると謳う例もある。しかし、そういった雑誌では虫はことごとく“無視”されている。田舎特有の人間関係の難しさを説く記事は目にするが、“人間対虫”の関係を説いている記事は少ない。

 世はアウトドアブームとなっているが、キャンプや登山を紹介する際も虫の問題に触れられることは少ない。しかし、自然と関わる以上、虫は“無視”できない存在なのだ。田舎暮らしで必須のスキルは、人づきあいではなく、虫づきあいと言っていいだろう。

 なぜここまで虫の問題を強調するのかといえば、現代人の虫嫌いは極端すぎるほどだからだ。筆者は虫を素手で触れるし、ゴキブリを見ても動じない。駆除も余裕だ。しかし、周りを見ると、ちょっと虫を見ただけで悲鳴をあげる人が増えた印象である。それは現代の住宅の機密性が高まり、都市化が進んで衛生状態が改善され、虫がレアキャラ化したことにも起因するかもしれない。

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