痛風予防に「ビールより焼酎」は間違い? 「抜け毛対策に海藻」は根拠なし? 誤解だらけの健康法を科学的に検証

ドクター新潮 ライフ

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やせている高齢者は死亡率が高い

 逆に現在、高齢者と若い女性においてはやせすぎが問題になっています。事実、高齢者に関しては体重が正常、あるいは太り気味の人の死亡率は同程度であるのに対し、やせている高齢者はサルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少および筋力低下)やフレイル(寝たきり手前の虚弱)になりやすいため死亡率が高いことが近年明らかになっています。

 若い女性に関しては、やせている、もしくは妊娠時に十分に体重が増えなかった母親から生まれてくる赤ちゃんは、2500グラム未満の低出生体重児である割合が高く、さらに低体重で生まれた赤ちゃんは大人になって以降、生活習慣病になりやすいとのデータもあります。過度なダイエットには要注意なのです。実際、先の国民健康・栄養調査によると、20~29歳の女性の21.7%がBMI値基準で「やせ」に相当します。

 したがって、高齢者などが生活活動量の減少や精神的なストレス、また薬の副作用などによって食欲不振に陥っている場合、やせないように、さらには「正常以上に太る」ために「食べる工夫」が必要となってきます。とりわけ、筋肉の元となるタンパク質をしっかりと摂取する必要があるわけですが、薬味や香辛料を使うと風味が増して食欲増進につながります。

 その意味では、コレステロールが多く、かつては“不健康”なイメージがあったマヨネーズもそこまで悪者扱いしなくてもいいと考えます。むしろ良質のタンパク質が取れるという効果もあります。

マヨネーズは使ってよい?

 確かに、血中のコレステロール値が高い状態は歓迎すべきものではありません。しかし、プリン体同様、コレステロールも食品から摂取する以上に自らの体内で作り出している量のほうが多いのです。

 そのため、昔ほど「コレステロール=悪」とは見なされておらず、ごく普通に健康的な人であれば、摂取量に関してそれほど神経質にならなくてもいいというのが現在のスタンダードです。

 しかも、マヨネーズは高カロリーですから、「やせ」で死亡リスクが高くなる高齢者にとっては、食欲が落ちているのであればむしろ好都合な調味料ともいえるでしょう。

 一方で、食欲を増進するための味付けとして、「塩」を使うのには注意が必要です。

 もともと、コメ(白米)を主食とする日本人は塩分の摂取量が多い傾向にあります。漬物にみそ汁。淡泊な味の白米には、こうした塩分を多く含んだおかずの相性が良い。しかし、食塩の過剰摂取は高血圧のリスクを高めてしまいます。

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