痛風予防に「ビールより焼酎」は間違い? 「抜け毛対策に海藻」は根拠なし? 誤解だらけの健康法を科学的に検証
「痛風予防にビールを控える」の効果は
また、男性の中には痛風予防のためにプリン体が多いビールを控えているという人も多いのではないかと思いますが、効果はさほど期待できません。そもそも、痛風は遺伝的要素、つまりその人の遺伝子が痛風になりやすいタイプであるか否かによるところが大きいのです。
もちろん遺伝的に痛風になりやすい人が、「痛風の元」とされるプリン体を多く含む魚卵などを避けたほうがいいとはいえるでしょう。とはいえ、食品からのプリン体摂取を控えても、それを凌駕する量のプリン体が体の中で作られているため、ビールを控えたところで体内からプリン体がなくなるわけではないのです。
焼酎にはプリン体は含まれないが…
同時に、痛風予防のためにビールではなく、焼酎を飲んでいるという人は、大いなる勘違いをしているといえるでしょう。なぜなら、確かに蒸留酒である焼酎にはプリン体は含まれていませんが、アルコールそのものにプリン体の分解産物で痛風の原因となる尿酸の合成を促進する働きがあるからです。また、アルコールには尿酸の排泄を抑制する働きもあります。実際、痛風患者の80%は毎日3合以上のお酒を飲んでいるという調査結果も存在します。「プリン体」を控えても「アルコール」が痛風を招くことを物語っているといえるのではないでしょうか。
次に、「肥満」について解説したいと思います。「体重(キログラム)÷身長(メートルの2乗)」で算出されるBMI値が肥満か否かを分類する基準となっていて、BMI値が18.5未満であれば「やせ」、18.5以上25未満だと「正常」、25以上で「肥満」ということになります。
2017年度の「国民健康・栄養調査」によれば、20~59歳の31.4%がBMI値25以上の肥満です。高齢になる前段階での肥満はさまざまな生活習慣病を招く元となるため、その世代の人は太り過ぎに要注意です。
しかし、肥満状態を脱しようとして大幅に食事量を減らすと、かえって体はやせにくい体質になってしまいます。
そもそも、生物にとって飢餓状態というのは栄養不足と同義ですから望ましいものではありません。そして、食事量を減らすだけのダイエットだと、運動をしないために筋肉量も減ってしまいますから代謝能力が落ちます。したがって、少量であっても食べたものが代謝されず、そのまま体に残るようになるのでやせにくくなってしまうのです。
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