所持金わずか700ドルで娘をアメリカに行かせたシャラポワ父 ビザ取得にかけた執念とは(小林信也)
マリア・シャラポワが美しさだけでなく劇的な背景を持つ選手だと、どれほどの人が知っているだろうか。
5年前に翻訳出版された『マリア・シャラポワ自伝』(金井真弓訳・文藝春秋刊)に、天才少女が才能を開花させた経緯が克明に書かれている。普通は起こりえない、執念と無謀さと周囲の野心や善意の絡み合いの積み重ねに驚かされる。序盤にこんな一節がある。
〈わたしをテニス選手にした出来事をひとつ選ばなければならないとしたら、チェルノブイリの原発事故だろう〉
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