怪物スラッガー「佐々木麟太郎」を指名する球団は…西武、ロッテが有力か、巨人、日本ハムの動向は?
高校歴代最多の「140本塁打」に到達
全国各地で夏の甲子園出場を目指す高校野球の地方大会が行われているが、今年最も注目される選手といえば、スラッガーの佐々木麟太郎(花巻東)になるだろう。入学直後からホームランを量産し、高校通算本塁打数は清宮幸太郎(早稲田実・111本)の歴代最多を大きく更新し、7月3日時点で140本に到達しているという。高校通算本塁打数はあくまで参考記録ではあるが、スイングスピードや打球の速さと飛距離は圧倒的なものがあり、岩手大会には多くのスカウト陣が集結することになるだろう。【西尾典文/野球ライター】
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一方で、佐々木の“不安要素”を指摘する声も多い。体重は100kgを大きく超えており、その影響もあってか下級生の頃から故障が多く、この春も背中を痛めて春の県大会の序盤戦は欠場している。プレーの面ではタイミングをとる動きが急で、140キロを超えるスピードボールに差し込まれることが多く、また守備位置がファーストというのもマイナスポイントと言われている。
ただ、佐々木の打者としてのポテンシャルの高さはそんなマイナス要素を補って余りあるだけのものがあり、順調にいけば複数球団が1位指名する可能性も高いだろう。
では、実際に佐々木を1位指名する球団はどこになるのだろうか。過去の傾向やチーム事情、現場での視察状況などから探ってみたいと思う。
スラッガーがほしい2球団
佐々木を指名しやすいのは、やはり指名打者制のあるパ・リーグの6球団だろう。2017年のドラフトで清宮を1位指名した7球団の内訳を見てもパ・リーグが4球団、セ・リーグが3球団となっている。中でも、佐々木の必要性が高い球団となると、西武とロッテになるのではないだろうか。
西武はかつての“山賊打線”が見る影もない状態で、主砲の山川穂高も自身の不祥事で去就は不透明な状態にある。2020年に1位指名した渡部健人が今年ようやく開花の兆しを見せつつあるものの、長打力不足は明らかだ。昨年のドラフトで、蛭間拓哉と古川雄大という野手を上位で指名しているが、いずれも外野手であり、“完全なスラッガータイプ”である佐々木とはタイプが異なる。チーム再建の象徴となる存在として、佐々木は最適な人材ではないだろうか。
スラッガーが欲しいのはロッテも同様だ。昨年ブレイクしたかと思えた山口航輝が今年は“2年目のジンクス”に苦しみ、主砲として期待された安田尚憲もなかなかホームランが増えてこない。二軍には楽しみな若手はいるものの、純粋なスラッガータイプを上位指名したのは、2017年の安田が最後である。ここ数年の指名傾向を見ても、目玉となる高校生に入札することが多く、その点からも佐々木の1位指名の可能性は高いのではないだろうか。
パ・リーグの他の球団では、佐々木の地元東北に本拠地を置く楽天、和製大砲が欲しいソフトバンクも指名の可能性は十分あるように感じられる。一方、オリックスは昨年右打者ではあるが、高校生の大砲候補である内藤鵬を2位で指名していることを考えると、佐々木の必要度は少し下がると考えるのが妥当だろう。
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