不漁が続くサンマやサバを尻目に「“安い魚”の代名詞」が脚光 水揚げ量日本一「銚子港」で“半年経っても美味しいイワシ”が味わえる理由

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缶詰用の小イワシも高騰中

 ともかく、現時点でもこのタレを使った料理は銚子へ行けば味わえる。「入梅いわし祭」は7月末までで、これまでの売れ行きは上々だという。最近は刺し身に向かない小ぶりなイワシが多く在庫が心配といった状況だとか。

 ただ、その小イワシも漁港では人気者。漁港関係者によれば、サバの不漁で缶詰用の原料がなく、代替需要で小イワシの買い気が強まり、単価は昨年の2倍ほどに高騰しているという。

 銚子港では昨年、サンマの水揚げが初めて「ゼロ」となる事態に陥った。しかし、サンマやサバがなくても銚子にはイワシがある。梅雨が明けても旬の味覚は続く。熟成塩タレがある限り、日本の代表魚・イワシの存在感は、魚の水揚げ量日本一の銚子港でますます高まるであろう。

川本大吾(かわもと・だいご)
時事通信社水産部長。1967年、東京生まれ。専修大学を卒業後、91年に時事通信社に入社。長年にわたって、水産部で旧築地市場、豊洲市場の取引を取材し続けている。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社)。

デイリー新潮編集部

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