大谷翔平“規格外”の活躍で思い出す「野茂バッシング」 日本を覆う“他人の挑戦をバカにする”空気感の正体
タレントの中山秀征さんが、「週刊新潮」(6月29日号)の連載コラムで触れていたことは非常に重要なので、私も書いてみる。中山さんは、芸人・とにかく明るい安村さんがイギリスのオーディション番組で大ウケしたことを受け、「海外で活躍する日本人」が今や当たり前になったことを描く。だが、1990年代中盤頃は、日本の芸能人が海外進出することを冷笑する向きがあったと言及。そして、野球についても以下の振り返りをする。
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「夢物語」から「現実」に
<今では信じられない話ですが、94年に野茂英雄さんがメジャー挑戦を表明した時、マスコミやOB、ファンまでもが「わがまま」「通用するわけがない」と非難し、「野茂は痛いヤツ」と笑われる雰囲気がありました。
野茂さんが大活躍し“うるさ方”を黙らせた後も、「イチローの振り子打法は」「松井(秀喜)……さすがに長距離砲は」と誰かが挑む度、「活躍できるわけない」の声はあがりましたが、彼らが結果をだしていくうち、日本のプロ野球界にとって、メジャー挑戦は「夢物語」から「現実」になりました。そしてついに、日米両国から「できるわけない」の声を浴びた大谷選手が「メジャーでの二刀流」を実現し、ベーブ・ルースの記録を塗り替える、異次元の大スターとなったわけです>
その通り。野茂が挑戦を表明した時、夕刊紙やスポーツ紙は猛烈に叩いた。基本的には中山さんが述べた論調で、野茂を“裏切者”扱いし、無謀なドン・キホーテのごとき扱いをした。何しろ各球団の番記者は忠誠心を持っているし、その気持ちを表明しなくてはならないのだから。しかし、彼らの予想を裏切るかのごとく、見事なまでに野茂はアメリカで大活躍。MLBでは野茂が来る前年、ストが起きて暗い雰囲気になった。娯楽としての評判を落としたのだが、「トルネード投法」でバッサバッサと三振を奪う野茂が、アメリカ国民のハートを鷲づかみにしたのだ。結局、この年はオールスター戦にも先発し、奪三振王、新人王を獲得するほどの大活躍を見せ、中山さん言うところの「うるさ方」を完全に黙らせた。
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