女子プロは3日制に戻すべき 新人・櫻井選手が優勝した資生堂レディス

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 7月2日、今年の資生堂レディスオープン最終日は抜けるような青空に恵まれた。「さあ、思う存分戦ってくれ」と言わんばかりのコンディションとなった。前日は雨と15mもの強風に襲われ、一時試合中断となり各選手が苦しんだ。どんどん落ちて行く者と後半に耐え抜いてバーディを決める者とに分かれた。自然と戦うゴルフは耐え切った者に神のお告げが下されるとばかりに希望を持って戦った。中でも絶大なる人気で会場を沸かしたのは33歳の藤本麻子だ。

 若手選手の中に割って入った3日目は後半で4バーディを決め一気に-7とスコアを伸ばし同じ岡山県出身の13歳年下の後輩 桑木志帆、21歳の岩井明愛(姉)、25歳の宮田成華と並んだ。

大物プロ誕生の瞬間

 最終日は思わぬ展開となる。1打差で19歳の櫻井心那が優勝候補の桑木、-5の永井花奈と同ペアリングで回り競ったのが好結果を生む。桑木は2021年6月、櫻井は同年の11月の合格者。いわば同年のプロ。だが、櫻井はまだ19歳の新人プロ。

 まずリードしたのは桑木で、共に3,4番を連続バーディに決め-9でトップを走る。同組の櫻井は4,7番をバーディにして-7と伸ばすが、6番でボギーを叩いて-6に戻る。-7組では最終組の岩井が2,6番を決めて-9に伸ばし桑木と並んだ。33歳の藤本は2人に40ydおかれながらユーティリティのクラブでグリーンを狙って粘る。しかし焦りからパットが入らず3,9番をボギーとして後退した。

 後半は南からの風が吹き出した。流れを変えたのは今年から下部ツアーのステップアップで前年5勝してトップになった資格で今年のレギュラーツアー出場権を得たばかりの櫻井である。10番と12番でバーディを決め-8に伸ばした。同ホールでボギーを叩いて-8に後退した桑木に並ぶ。ところがこの2人、次の13番で桑木がバーディ、櫻井がボギーで2打差とひらく。桑木は次の14番でバーディを決めて再び2ケタの-10と伸ばし櫻井に3打差、うしろの組で追い上げる岩井に1打差でリードした。

 だが勝負は分らないもので、リードした桑木は15番ボギーで後退、しかし16番ではバーディを決めて再び-10に戻した。17番で思わぬ展開となる。-8と伸ばした櫻井が17番の難ホールで2打目を20cmにつけてバーディを決めると桑木に焦りが見えはじめた。

 櫻井は2打差とされた16番を終えたあと、キャディに「17,18をバーディで決めようよ」と言われ戦闘モードに切り替えている。「あの17番の第2打は145ydをピッチングウェッジを心もち短く持って打ったら20cmに付けた」と記者会見で振り返る。72ホール目の18番ではオナーをとりフェアウェイに。追われた桑木は左ラフへ。グリーンでは櫻井がバーディを決めて-10とし、2人のプレーオフに持ち越される。後続の岩井は2人の戦いにペースを乱され、14番以降パットが入らず-9で止まりプレーオフに入れなかった。

 新人2人のプレーオフ1回目は互いに1Pのパーで引き分け。2回目は櫻井がフォローの風に乗せて右バンカー超えを狙い284ydのティショットを放った。3日目終了時点の記者会見で「100yd以内が下手だから今週は月曜日から徹底的に練習した。距離感が合うまでに1,2カ月はかかると思う。今季の目標は80yd以内の精度を上げ、レギュラーツアーで初勝利を挙げることです」と少女っぽい長崎弁で話していたが、プレーオフ2回目は残りが80yd。ウェッジでハーフスウィングしてピンを狙った。

 しかし追い風に流されてカップの上2mに止まるミス。パットは6m下につけた桑木がショートした。そのあと櫻井が2mの下りスライスラインを沈めて逆転優勝する。共にプレーオフ初経験の2人。先に桑木が2パット目を沈めていたら櫻井にプレッシャーとなり、2mの下りパットは外れていたかも知れない。小さな試合ながらも2部ツアーで5勝、台湾ツアーで1勝の経験が勝因を呼んだ。櫻井は19歳の少女プロ。大物プロの誕生である。

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