今さら9月3日を「対日戦勝記念日」にしたプーチンの迷走 防大名誉教授は「ナチス・ドイツと同じようにロシアも崩壊する可能性」

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「核のボタン」と軍国主義

 ソ連が国際法を無視して満州や北方四島に攻め込んだ歴史的事実は、現在、ロシアが不法にクリミア半島を奪取し、ウクライナに侵攻した経緯と重なり合う。

「ソ連時代から『条約は破るためにある』という外交姿勢でした。おまけにプーチン大統領はKGB出身です。東ドイツで諜報活動に従事していたのですから、昔から非合法活動にも手を染めていた。そんな経歴を持つ男がロシアのトップに君臨しているのですから、ロシアという国家が遵法意識に乏しくなるのは必然です」(同・佐瀬氏)

 ドイツのオラフ・ショルツ首相(65)は6月28日、「(プーチン大統領が)どのくらい権力の座に居続けるのかは推測したくない。長いかもしれないし、短いかもしれない。われわれには分からない」(註2)と発言し、注目を集めた。

「誰が“ポスト・プーチン”に躍り出るか、世界中が注視しています。しかし、噂のレベルですら具体的な名前が囁かれません。同じように“ポスト”が不在だった歴史上の人物に、アドルフ・ヒトラー(1889~1945)がいます。国家において後継者が議論されないという事態は、その国における統治システムが間違っていることを意味します。ナチス・ドイツが崩壊したように、プーチン大統領のロシアも同じ末路を辿る可能性があります。だからこそ『破れかぶれになったプーチンは、ウクライナで戦術核を使うのでは』という不安が消えないのです。最初の論点に戻れば、核のボタンを押しかねない男が日本を『軍国主義』と批判できるはずはないのです」(同・佐瀬氏)

註1:ソ連対日参戦で「多くの命救った」「岸田政権は歴史直視せず」 ロシア報道官が正当化(JCASTニュース:7月3日)

註2:プーチン氏「弱体化させられた」=ロシア反乱後の情勢注視―独首相(時事通信:6月29日)

デイリー新潮編集部

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