「あまちゃん」再放送でわかった根強い人気 名作を生んだ最大の功労者は石田ひかり「夫」

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「あまちゃん」後も名作を生み続ける訓覇氏

「あまちゃん」後も、訓覇氏は制作統括として目覚ましい活躍を続けている。たとえば、視聴率には恵まれなかったものの再評価を受けている大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年)。2021年に手掛けた松坂桃李(34)主演の「今ここにある危機とぼくの好感度について」は、文化庁芸術祭賞のテレビ・ドラマ部門で大賞に輝いた。

 昨年は神尾楓珠(24)主演の「17才の帝国」、今年は丸山礼(26)主演の「ワタシってサバサバしてるから」を手掛け、どちらも評判を呼んだ。

 ドラマ界には「ヒットメーカー」と称される人が数多い。けれど「天才」とまで呼ばれる人は僅か。訓覇氏はその1人だ。脚本家の坂元裕二氏(56)や渡辺あや氏(53)ら第一線のドラマ人からの信頼も厚い。

 また、訓覇氏の経歴を辿ると、「あまちゃん」で演劇人の起用をためらわなかった理由が分かる。訓覇氏自身が演劇人だった。1991年にNHK入りする前の京都大学文学部在学中、やはり京大出身の辰巳琢郎(64)たちが在学中に旗揚げした「劇団そとばこまち」に所属していた。中心メンバーの1人だった。

 この劇団からは数々の才能が生まれている。同志社大学時代の生瀬勝久(62)も所属し、座長を務めていた。フリーの立場でNHK「チコちゃんに叱られる!」のプロデューサーを務める元フジテレビの小松純也氏(56)も団員だった。名門小劇団なのだ。

 石田ひかりと出会ったのは1997年。ひかりが出演した大竹しのぶ(65)主演の「水曜シリーズドラマ 棘・おんなの遺言状」(全6回)で、訓覇氏が演出を担当していからである。結婚は2001年、訓覇氏が大阪放送局に勤務している時だった。その後、2人は2女をもうけた。

 ちなみに石田も「あまちゃん」に出演している。アキが所属したアイドルグループ「GMT47」のメンバー・小野寺薫子(優希美青・24)の母親・さとみ役だった。目立たぬ役で贅沢な起用だった。

 観るドラマの選び方はさまざま。俳優で選ぶ人もいるし、脚本や原作を重んじる人もいる。加えて、プロデューサーで決めるのもいいのではないか。訓覇氏の作品は落胆させない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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