「あまちゃん」再放送でわかった根強い人気 名作を生んだ最大の功労者は石田ひかり「夫」
NHKのBS4K・BSプレミアムで再放送中の連続テレビ小説「あまちゃん」(月~土曜午前7時15分)が後半に入った。この名作を生んだ一番の功労者は誰なのだろう。NHK局員に聞くと、ある有名女優の夫で同局制作者の名前が挙がる。
不安視されていたクドカンの脚本
「あまちゃん」の本放送開始から約4カ月が過ぎた2013年夏、「『あまちゃん』、当たりましたね」と話し掛けたNHK制作幹部は、「よかったよぉ」と安堵の表情を浮かべた。放送前の局内には、成功を危ぶむ声があったからだ。それが「あまちゃん」エピソード0の真実である。
不安の理由は第一に、脚本を書くのが宮藤官九郎氏(52)だったこと。当時、宮藤氏のNHKでの仕事は初めて。慣らし運転的な登板はなく、いきなり負担と責任が重い朝ドラを任せられた。極めて異例のことで、局内から懸念の声が上がるのも無理はなかった。
また、宮藤氏の才能は誰もが認めるところだが、作品は個性が強い。当時は「大衆向きではない」と思われていた。つまり、朝ドラには合わないと見られていたのだ。
さらに、宮藤氏が所属する劇団「大人計画」の松尾スズキ(60)、荒川良々(49)、皆川猿時(52)を始め、演劇人が多く出演することも不安材料だった。演劇ファンにはよく知られた俳優たちだが、そうでない視聴者には馴染みが薄かったからである。松尾と荒川はこの作品が初の朝ドラだった。
もっとも、作品の総責任者である制作統括は意に介さなかった。その人物の名は訓覇圭(くるべ・けい)氏(56)。妻は石田ひかり(51)である。NHK内では「あまちゃん」を成功に導いた“一番の功労者”と言われている。宮藤氏らを指名したのも訓覇氏。無難な線を狙わなかった。
成功を危ぶむ声があったにもかかわらず、訓覇氏が「あまちゃん」を制作できたのは、十分過ぎるほどの実績があったから。2007年には大森南朋(51)主演の「ハゲタカ」で制作統括を務め、日本映画テレビプロデューサー協会が選ぶエランドール賞を受賞した。2009年には渡部篤郎(55)が主演した「外事警察」でも制作統括を務め、制作会社団体が決めるATP賞テレビグランプリに。どちらもテレビ界で屈指の権威を誇る賞である。
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